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2011/12/02(金) 17:29 中鬼
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2011/11/02(水) 05:11 大鬼
文科省によるセシウム土壌濃度の航空モニタリングで、10月中に新たに東京・神奈川・新潟・秋田の計測結果が公表された。東京・神奈川は2011年9月14~18日、新潟・秋田は2011年8月30日~9月28日に計測された。以下はセシウム134・137合計の土壌沈着濃度(Bq/m2)である。ストロンチウム・プルトニウムなど他の放射性核種は含まれない。

<参考までに>
放射能空間線量については、毎時0.11マイクロシーベルト以上だと1年間で年間許容限度とされる1ミリシーベルトを外部被曝だけで越える。土壌汚染については、チェルノブイリではセシウム137の地表堆積(ベクレル/m2)が37000(37K)以上で汚染地域とされ、185000(185K)以上で補償つき任意移住が認められ、555000(555K)以上は強制移住、1480000(1480K)以上は強制移住&立入禁止ゾーンとされた。セシウム134と137はほぼ同量ずつと考えて良い。


広域放射性セシウム汚染マップ

福島から西に向けて伸びる放射能汚染地帯の一部が新潟にもかかっていたこと、また南に向いた放射能雲が東京も汚染したこと、そして県境の状況から考えて長野・山梨・岩手などにも汚染地帯が存在する可能性が高いこと、などが分かる。

文科省航空モニタリング_広域201110


東京都のセシウム汚染マップ

東の葛飾区・江戸川区・足立区・江東区の一部、西の奥多摩・青梅・日の出・あきる野・檜原・八王子の一部から比較的高い濃度が検出された。奥多摩の高濃度地域は原発からの距離が250kmを越えている。WSPEEDIの予測データによれば3月15日前後に東京埼玉を東から西へ高濃度放射性プルームが横断した可能性が高いが、コンクリートの多い大都市部ではセシウムの地表沈着量が相対的には少なく数ヶ月の内に地表から下水などに流れ出た割合が高いと思われる。ただし航空モニタリングで低い濃度のエリアでも花壇・街路樹・グランドなど局所的に高い濃度が首都圏各所で検出されている点には注意が必要である。

文科省航空モニタリング_東京都


神奈川県のセシウム汚染マップ

神奈川県はこれまで計測された都県と比較するとセシウム土壌濃度は相対的には低い。ただし航空モニタリングで低い濃度のエリアでも花壇・街路樹・グランドなど局所的に高い濃度が首都圏各所で検出されている点には注意が必要である。また神奈川県横浜市や逗子市など神奈川県内で相次いでストロンチウムが検出されているように、セシウム濃度が低くても他の放射性核種が同様であるとは限らない

文科省航空モニタリング_神奈川県


新潟県のセシウム汚染マップ

新潟県は南部と東部に汚染エリアが見つかった。とりわけ魚沼産米・岩舟産米の産地から高い濃度が検出されている。そこには原発からの距離が200kmを越える場所も含まれている。

文科省航空モニタリング_新潟県


秋田県のセシウム汚染マップ

秋田県はこれまで計測された都県と比較するとセシウム土壌濃度は相対的には低い。

文科省航空モニタリング_秋田県

※画像をクリックすると拡大されます


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政府がプルトニウム・ストロンチウムの飛散認める:たった100カ所の土壌調査を3ヶ月以上かけて公開
 

 
2011/10/01(土) 06:42 大鬼
文科省の報告(PDF資料)によると、プルトニウム(アルファ線核種)・ストロンチウム(ベータ線核種)の調査は、これまでにたったの100カ所。その極めてやる気のない調査は実は6月に実施されており、3ヶ月以上の時間をかけて9月30日にようやくその結果が一般公開された。プルトニウム238/239・ストロンチウム89/90以外のアルファ線・ベータ線核種については検査は行われていない。

調査の結果、プルトニウムが原発から少なくとも45km地点まで飛散したこと、ストロンチウムが少なくとも80km地点まで飛散したことが確認された。


文科省プルトニウム汚染マップ

文科省プルトニウム検出マップ


文科省ストロンチウム汚染マップ
文科省ストロンチウム検出マップ

<画像をクリックすると拡大されます>


マップ上の緑の点は、核種の比率の分析から異常な比率が見つかった地点、つまり今回の原発災害によるものと明確に推定される地点、という意味であり、そこだけでプルトニウムやストロンチウムが見つかったという意味ではない。マスコミは緑の地点だけに注目しているが、それ以外の地点にも原発から飛んでいないという証拠はない。同じ検出値でも核種比率分析という方法で政府系専門家が原発由来だと判断しない検出値については数値のみが記載されている。また「検出限界」を下回る濃度の地点はすべて「不検出」とされている。

政府系専門家が原発由来と判断するかどうかは解釈の問題であり、すべての人がそれを納得する必要はない。検出値は検出値だ。例えば原発から80kmほどの茨城県北部の計測地点(北茨城市南端)ではプルトニウム239が9.2Bq/m2検出されていて、この値は避難エリア内の多くの計測地点の値よりも高い。政府系専門家らはこれを原発由来だと判断していないようだが、茨城北部で異常なレベルのプルトニウムが検出されている事実はそれはそれとして重大だ。利権や名声ではなく命を守らなければならない一般庶民にとって、解釈論の結論を待っている時間はない。少なくとも80km以上プルトニウムが拡散した可能性を考えて行動した方がいい、私なら同じデータからそう考える。

いずれにしてもこの程度の規模の検査から、全体的な拡散の程度を云々することには無理がある。そしてあまりにもやることが遅い。今回の報告書では「放射性ストロンチウム及び放射性セシウムの沈着量の分布は一様ではないことが確認された」から一部で「追跡調査を行う」としながらも、別の箇所では「今後の被ばく線量評価や除染対策においては、セシウム134、137の沈着量に着目していくことが適切である」として、セシウムばかりに注目していれば大丈夫といった従来の姿勢を崩していないようだ。今後のアルファ線・ベータ線核種の検査の継続および強化については一切述べていない。

まさかこれでおしまい?


追記3:首都圏で相次いで検出されるストロンチウム

ストロンチウム等の猛毒核種についての情報隠蔽もそろそろ限界のようだ。首都圏で相次いでストロンチウムが検出されている。まず神奈川県横浜市港北区の道路脇土と新横浜周辺の噴水沈殿物から(横浜市発表)、そして神奈川県逗子市の小学校の土からも(市議発表)、ストロンチウム(Sr89とSr90)が検出された。また東京都世田谷区の大気中からもストロンチウムが検出されている。東京都は6月に判明していた測定結果を11月1日まで情報隠蔽していたということである。「健康に影響を及ぼす可能性は低い」などと弁明しているが、そうした一判断が測定結果を公開しないことへの正当な根拠になりえないことは誰でも分かる。


追記2:セシウムの濃度だけ測っても他の核種の濃度は分からない

政府は広域ではセシウムの濃度を調べておしまいにしたいようだが、ストロンチウムなど他の核種はかなり異なる飛散パターンを示しており、核種ごとの独自の広域測定が必要なことは明らかである。セシウムと他の核種の拡散パターンが異なることは、以下のようにテルル129mや銀110mのセシウム137に対する割合が一定でないことを見れば視覚的にも容易に理解できることである(資料出所)。ところがこの資料は地域をいくつかに区分することで、あたかもセシウム137とテルル129mの濃度割合が一定であるかのようなグラフを載せている(さすがに文章では相関があるとは書いていないが)。なぜこんなバカげた作業に彼らがこだわったかといえば、セシウムの濃度を測れば他の核種はもう測らなくていいだろう、と言いたかったのであろう。役人や御用学者の知的能力の無駄遣いには心底あきれ果てる。普通の良識ある人間にとってこの調査から読み取るべき大事なことは、地域によってまた核種によってセシウムとの濃度割合が全く違うというシンプルな事実であり、したがってセシウム濃度だけ測ればいいという判断はできないということであ る。私たちはまだ肝心な情報を持っていない。

セシウム137に対するテルル129mおよび銀110mの濃度割合セシウム137に対するテルル129の割合
セシウム137に対する銀110mの割合

 ※画像をクリックすると拡大されます


追記1:3号機核暴走・3月15日分WSPEEDI・気象庁データ・航空モニタリング・日本政府プルト検出資料・米国EPAデータを全部つないで考えると謎が解ける!?

ツイッターで北茨城の高濃度プルト239検出について指摘されてはっと思い出した。政府がこそこそ隠していてNHKが一瞬だけ報じた3月15日のWSPEEDIデータ、当ブログでも紹介したあの福島から南向きで関東をえぐるような放射性プルームの軌道だ。後に公式発表された微妙に異なる3月15日WSPEEDIデータを見ても風向き・軌道はほぼ同じ。3号機が爆発した14日分放出分については、気象庁が市民にではなくIAEAに向けて作成した英語の予測拡散マップがあり、そこでも14日から15日まで南向きの拡散進路が推定されている(その後太平洋上は西向きに)。つまり3号機の爆発で出たプルトニウム等が、原発から南に向かい、北茨城あたりでいったん太平洋側に出て、そこから茨城県南部に再上陸して千葉北部そして東京東部や北関東へと向かう放射能雲と、太平洋上をさらに南下してから西へと拡散した放射能雲(その一部がグアムや西海岸にも到達する)に分かれた、という仮説が成り立つように思う。北茨城でのプルトニウム検出や、航空モニタリングに示された鹿島灘から東京方面へと向かう汚染ラインとも整合的だ。3月15日・16日あたりに首都圏を含むこの軌道上のエリアでマスクなしで呼吸していた人には気の毒なことだが。リアルタイムに警報を出し得たのに原発政策擁護のために情報隠蔽に走る政府、そして原発産業を含む日本の政治経済の中枢による巨大な犯罪である。


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2011/10/01(土) 05:20 大鬼
文部科学省が広域で実施している航空モニタリング測定について、当ブログ前回記事以降9月末までに計測された、茨城・山形・福島西部・群馬・埼玉・千葉の各県とそれらを含む広域での放射性セシウム土壌汚染マップをまとめた。

福島第一原発災害の発生から半年以上経ったが、いまだに首都圏全域の汚染状況は計測されておらず、プルトニウム等のα線核種についても広域での計測・情報開示はほとんど進展していない。より差し迫った課題である食品検査の徹底、基準値の厳格化、移住政策などについても日本の政治は冷淡な態度を続けており、誰も望んでいない永田町利権政治や財界の求める原発再稼働・原発輸出推進などに明け暮れている。民主主義の危機といっていいこの状況を大きく変えるには、原発容認派の政治家を大量に落選させるしかない。原発産業と経済至上主義によってこの国の食と環境と安全が台無しにされたこと、これから犠牲となる子供たちのこと、汚染マップを見ながらしっかりと考えたい。

<参考までに>
放射能空間線量については、毎時0.11マイクロシーベルト以上だと1年間で年間許容限度とされる1ミリシーベルトを外部被曝だけで越える。土壌汚染については、チェルノブイリではセシウム137の地表堆積(ベクレル/m2)が37000(37K)以上で汚染地域とされ、185000(185K)以上で補償つき任意移住が認められ、555000(555K)以上は強制移住、1480000(1480K)以上は強制移住&立入禁止ゾーンとされた。セシウム134と137はほぼ同量ずつと考えて良い。


広域汚染マップ(2011年9月30日までの計測分)

文科省航空モニタリング_広域110930

<画像をクリックすると拡大されます>


千葉県の汚染マップ


文科省航空モニタリング_千葉

北部に高濃度汚染地域が集中している。とりわけ我孫子・柏・流山・松戸にホットスポットが多い。また木更津周辺も若干濃度が高いエリアがある。すでに市民による首都圏150カ所土壌調査でホットスポットの存在が明らかにされているが、このマップと茨城県の汚染地図を合わせてみれば、鹿島灘から東京東部や横浜方面に向かって大量の放射能が流れ込んだ形跡がはっきり見えてくる。


茨城県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_茨城

福島に近い北部では日立市の一部まで高い濃度のエリアが存在する。南部は鹿島灘から東京方面へと伸びる汚染ラインを中心に広範囲に汚染されている。


埼玉県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_埼玉

群馬と東京奥多摩に接している西部エリアと千葉・東京葛飾に接している最東端に濃度の高いエリアが集中している。


群馬県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_群馬

今回最も衝撃的だった測定結果がこれ。福島に隣接していない県でもこれほどの高濃度汚染エリアが広がっていた。濃度をよく見ると、群馬県の放射能汚染は原発から30-60kmの福島県いわき市並といってもいいレベルだ。栃木県の高濃度汚染ラインの延長線上にある東部だけでなく、新潟に近い県北部の汚染がひどい。新潟南部といえば日本有数の米の産地がある。貧弱な食品検査ですらすでにセシウム米が多数検出されてきているが、米所の汚染は日本の食の根幹をゆるがす極めて重大な事態だ。また長野県に近い南西部にもホットスポットが点在しているが、そこは原発からの距離がなんと250kmを超えている。


福島県西部の汚染マップ

文科省航空モニタリング_福島西部

これまで会津若松より西のエリアの航空モニタリングデータがなかったので追加された地域。このマップだけでは分かりづらいが、広域マップの方を見ると猪苗代町から只見町へと伸びている汚染ラインが新潟南部を経て群馬北部へと到達しているように見える。しかも汚染濃度は福島西部よりも群馬北部の方が高い。原発からの距離だけが問題なのではないということが改めてよく分かる。


山形県の汚染マップ

文科省航空モニタリング_山形

これまで計測された県の中では最も被害エリアが限定されているが、よく見ると山形市や新潟に隣接する小国町などにホットスポットが存在する。

なお政府が9月30日に発表した80km地点までのプルトニウム・ストロンチウム土壌調査の報告によるとセシウムとストロンチウムの拡散パターンはかなり異なるため、セシウムのみを計測している航空モニタリングの汚染マップで低い濃度が出ている地域でも他の放射性核種の濃度が低いとは限らない、という点には注意したい。


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2011/08/06(土) 18:06 大鬼
農林水産省_米生産量ランキングマップ
※東日本に集中する日本の主食米の生産:農林水産省のサイトより


  • いいかげんちゃんとしよう日本

「放射能偉い、差別しない、逃げられない」と歌う人がいる。放射能はあらゆるものに入り込む。水、茶、牛乳、野菜、きのこ、海藻、魚、牛、豚、卵、そして麦と米。原発が日本のすばらしい食を台無しにしてしまった。外食前にいちいち産地情報をぐぐる。妊婦からはセシウム母乳、子供からはセシウム尿。スーパーには放射能に汚染された疑いのある食品があふれ、産地表示もあてにならない。この悪夢を当たり前の日常にしてはいけない。現実に目を背けて集団逃避していてはいけない。今私たちが最も必要としているもの、そしてこの国が最もやろうとしてこなかったことは、きちんとした食品検査と誠実な表示だ

原発災害被害の主役は、飲食品を通した長期低線量内部被曝である。空間線量や外部被曝は作業員や福島の一部の方々以外にとっては主な脅威ではない。呼吸による被曝はマスクで防護できるが、食べ物は表面を洗ったところで中に入っている放射能は排除するすべがない。だから犠牲を最小にするには、食品検査にできる限りの資源をつぎこみ、汚染された飲食品の流通を徹底的に除去しつつ、産地や放射能濃度を正確に表示するルールが必要だ。

一番大事なことに注目しよう。今日本にどれだけの検査機器があり、どれだけの人員が担っているのか、そして1日どのくらいの数の食品検体が検査されているのか。史上最悪の原発災害で日本中が放射能まみれになっているのに、ほとんど311前の検査体制のままだ。機材と人員が絶対的に不足しているため、検査できるサンプル数が少なすぎて、ほとんどの放射能汚染食品は全国に流通している。検出された汚染食品など氷山の一角に過ぎない。千葉県柏市内の通学路から5万ベクレル/kg(342万ベクレル/m2:チェルノブイリで言えば強制移住のさらに上の立入禁止ゾーンのレベル)が検出されたように、同じ地域でも全く異なる値が出るのだから、農作物もわずかな検体を調べただけで安全だとは絶対に言えない。「検出されていない=安全」ではないということを理解し、家族や友達に伝えよう。現状の検査体制から考えれば「検出されていない=計測していない」と考える方が適切だ。

本気でまともな食品検査をするには、それ相応の財源が必要だ。この経済大国で、電力会社や原発にかかわってきた大企業がそれぞれ兆円規模の内部留保をもち、毎年5000億円の原発関連予算という無駄を続け、膨大な資本をウランの輸入・濃縮等で海外に流出させ、米国債を助けるためにホイホイ何兆円も出す一方で、被曝者への十分な補償や必要な食品検査ができないとはどういうことか。やれないのではなく、やろうとしていない、資金の使い道が狂ってるということだ。事故から5ヶ月が経ってもこの国はいまだに命を守ることには不熱心だ。政府・与野党・知事・県議・電力業界・経済界・大手メディア・御用学者がそろいにそろって、賠償金を抑制して反原発世論を押さえ込むために、安全デマでリスクを過小評価し、根拠もなく「風評被害」を騒ぎ立て、汚染情報を隠し、避難させるべき人々を見捨て、ゆるすぎる規制値をでっち上げ、被害の我慢値でしかない規制値を安全値であるかのように宣伝し、絶望的に少ない食品サンプルしか検査せず、産地を偽装し、やらせで世論を偽装し、批判する人々を税金を使って監視し、電力不足デマや首相降ろしの茶番劇を繰り返して市民の視線を攪乱する、といった圧政を続けている。人々は手に取った食品が本当のところ放射能に汚染されているのかどうかという一番知りたい情報にアクセスできず、知らないうちに内部被曝を蓄積させられている。染色体の長期継続的破壊を強いることはれっきとした傷害・殺人である。日本の人々はいま、放射能だけでなく、それを大衆に食わせようとシステムを操作しているパワーエリートと闘わなければならない。彼らの暴力を批判せずに受け入れてしまっている有権者(特に年配男性)にも道義的な加害責任がある

私たちは原子炉のメルトダウンをどうすることもできないが、民主主義のメルトダウンを食い止めることはできる。2020年代に後悔しないため、子供達やあなた自身を守るために、食品検査の機材と人員を大幅に増やし、正確に検出値や産地を表示しろ、と意見を書こう!



  • 「流通している食品は大丈夫」は大ウソ

政府のどの資料にもだいたい書いてある言い回しだが、代表として食品安全委員会「放射性物質と食品に関するQ&A(6月13日更新)」を見てみよう。

Q:流通している食品は大丈夫なのですか?
A:「暫定規制値」を上回る食品については、食品衛生法により、販売等を行ってはならない旨、規制されています。また「暫定規制値」を超える食品が地域的な広がりをもって見つかった場合は、当該地域の食品について「出荷制限」や「摂取制限」が指示される仕組みになっています。
Q:食品衛生法に基づく暫定規制値を超える食品を摂取してしまった場合に、健康への悪影響は生じるのですか?
A:食品衛生法に基づく暫定規制値を超えた食品は、出荷停止の扱いとなり、市場に出回らないようになっています
※下線は大鬼

ニュアンスとしては大丈夫と思わせるような口ぶりだが、決してそう書いてあるわけではないことに注意しよう。「暫定基準」がそもそもデタラメだという点および放射能に安全な値などないという点は当ブログでは何度も書いてきたのでここではさておくとして、もう一つ肝心なツッコミどころがある。すべての説明の前提が「見つかった場合」であり、その見つける能力については一切触れていないということだ。汚染食品を見つける能力、つまり検査体制が貧弱であれば、どんな規制・制限を設定したところで汚染食品は必ず流通する。「市場に出回らない」のは規制値を「超えるものすべて」ではなく「超えたことが判明した」食品でしかないが、上のようにさらっと書かれれば出回っているものがみんな規制値を下回っているかのように多くの人が受け取ってしまう。「有能」な官僚による実に巧妙な言葉のマジックであるが、東大を出てこんな反社会的作文をしているのは完全な才能の無駄遣いである。



  • ベラルーシは1日3万以上の食品サンプルを検査、日本では最も検査体制が充実している茨城県でも1週間10サンプルが限度

NHKスペシャル「広がる放射能汚染」第2回(2011年7月3日)より文字起こし(一部要約)(36:00あたりから)
※は大鬼のコメント

全国でも検査態勢が充実している茨城県。4台の装置を24時間体制で使い、農産物を検査できるのは週に平均10サンプル程度。現在の体制では新たな品目に対応するのは難しい。

茨城県農林水産部・中野一正次長「本当は全品検査やりたいっていうのがあるんですけども、正直いってキャパシティの問題もあってそれはできない」

浮き彫りになった食品検査の限界、国はこの問題をどう考えているのでしょうか。

厚生労働副大臣・大塚耕平「全品検査できるわけじゃないんですね、サンプリングですから。まあそういうふうに考えると、規制値を超えたものが全く流通していないということを残念ながら我々も確信できる状況ではありません」

※いや、聞きたいのは、政府がなぜサンプル数を増やす最大限の努力をしようとしないのか、なんだが。

チェルノブイリ原発から50km、ベラルーシ共和国南部のストレリチェボ村。ベラルーシ政府による手厚い放射線対策のもとおよそ900人が暮らしています。事故直後、放射線量は年間20ミリシーベルトを越え、政府は土壌を入れ替えたが、25年経っても、年間1.8ミリシーベルト、1ミリを切っていません。

村に住む、シャランコさん一家、妻マルタさん25歳。近所の農家からもらった野菜と牛乳をもって、ストレリチェボ小学校へ行き、「放射線の検査をおねがいします」。ベラルーシ政府は汚染地域にあるほぼすべての学校に放射線の測定器を配置、物理の教師に訓練を受けさせ、無料で検査をする態勢をつくりました。「25.72ベクレル、安全基準値の4分の1です。」

さらに市場に出回る食品についても検査体制の充実が図られてきました。今では全国500を超える施設で牛乳や肉類・野菜など、1日平均3万を越えるサンプルが検査されています。

マルタさんの息子「きのこやベリーは避けて、検査された牛乳や肉を食べています。安全に暮らす方法があるから、ここで住んでいけるんです」

※日本との差は歴然。検査された食品しか食べません!日本でも早くそう言えるようになりたい。

こうした対策が可能になった背景には、国の強いリーダーシップがありました。国家チェルノブイリ対策委員会、その国家プログラムに当てられる資金は国の予算の2割に昇ります。

委員会のリシューク副局長「地域の人たちが働いて健康に生活するという当たり前のことを可能にするだけでも、あらゆる労力と資源を集中しなくてはなりません。」

※日本の予算規模なら1割使わなくてもベラルーシ以上のことができるはずだが・・

最大の課題は子供の健康、体内にある放射性物質を測る特殊な装置を町や村の診療所に設置し、すべての子供の検査を定期的におこなっています。検査だけでなく治療も将来にわたって無料です。マルタさん「子供の健康は親の力だけでは守ることができません。ありがたい制度です。」

※国が守ってくれないなら自分で守るしかないっていう悲痛な言葉を耳にすることがあるけど、やっぱり食品の汚染から逃れるのは自助努力では無理があり、制度をどうにかしないといけないと思う。体内被ばく測定や無料の医療補償をきちんとやる政府なら予防つまり食品検査に当然熱心になる。日本はどちらも適当にすまそうとしている。

国営解体企業社長「放射線との戦いには、忍耐と努力、そして財源が必要です。25年が経っても重い荷を背負い続けなければならないのです。」

総力を挙げて放射能汚染と闘うという強い意志、今の日本政府から感じられないものが見えてきました。



  • 1日平均44検体:日本全国の食品放射能検査機関と検査頻度について

ベラルーシでは500の機関が毎日30000検体の食品を検査し(ちなみにベラルーシのGDPは日本の100分の1)、加えて各学校で持込検査ができるとのことだが、日本で食品放射能検査をしている機関はどのくらいあるのか。大鬼にはまとまった資料を見つけることができなかったが、多少のヒントは得た。農林水産省のHPには、輸出食品の放射能検査ができる機関として25機関あげられている。厚生労働省の資料には測定機器を備えた主な試験研究機関として39機関あげられているが、食品放射能検査が可能な厚生労働省の関係機関としてはわずか6機関しか書かれていないジェトロのHPによると、検査対象が「全般」(すべてが食品検査を行っているわけではない)なら35機関、「食品」なら13機関あるという。さらに県・市の衛生研究所(または衛生センター)といった名前の機関が人口の多い自治体を中心に全国合計で79機関あり、その一部がかなりの検査を担っているようだ。民間企業でも食品検査を受託できると宣伝しているものがいくつか見つかった。以上のことから現在国内で機能している食品放射能検査機関は全部で100機関にもならないのではないかと思う(正確な数をご存じの方がいれば教えて下さい)。

消費者庁によれば、検査を依頼する側(自治体など)の検査頻度は基本的に週1回程度という。神奈川県でいえば、3月21日から8月4日までの135日間で合計で250検体を検査、週平均13検体程度だ。135日間で神奈川県民が買った食品の総個数は見当もつかない。もちろん生産者サイドでの出荷前のサンプル検査や、中にはメーカー・店舗独自に検査をしているところ(東都生協など)もあるが、全体からすればほとんど検査していないと言えるようなサンプルの少なさだ。全国的統計では農水省の農産物検査結果ページによると、静岡から岩手までの15都県の合計で7月中に検査された食品は1363検体、1日あたり平均44検体(1日1県あたり2.9検体)である。仮に茨城県のように4台24時間フル稼働している機関が全国で100あるとしても1日平均57検体程度。お話にならない。



  • まるで“底の抜けたザル”:基準値も検査も絶望的

週刊朝日「終わりなき放射能汚染:じわじわ広がる土壌・海水汚染 食品安全検査は機材も人も足りずにお手上げ」(2011年6月10日号)より抜粋 ----------

自治体から検査の委託を受ける民間検査機関の担当者はこう話す。「ほとんどの農作物が検査を受けずに市場に出ている。まるで“底の抜けたザル”です」

原因は圧倒的な検査機器と専門スタッフの不足だ。

厚労省が検査への使用を薦めている「ゲルマニウム半導体核種分析装置」は冷戦時代、核の脅威に備え、当時の科学技術庁が各都道府県に購入を指導したが、とても現在の需要に追いつく台数ではないという。

1台約1500万円と高価にもかかわらず、震災後は平時の5倍以上の購入申し込みがあり、「納期まで少なくとも4カ月待ち」(販売代理店)という状況になっているのだ。

魚介類の放射能検査の中心的存在である「水産総合研究センター」(横浜市)には、事故後、自治体や漁協から検査依頼が殺到している。同センターは分析装置を6台保有しており、約10人の専門スタッフがフル稼働で検査にあたっているが、前処理を含め、一つの検査に3-4時間かかるため、1日に4検査が限度だという。しかも、「魚は足が速いため、検査結果が出る前に、同じ場所でとれた魚は消費市場に流れている」(漁協関係者)というのが実態だというから恐ろしい。

分析装置を2台所有する埼玉県の担当者も、ホウレンソウなど数種類を週に1度、検査するので手いっぱいだと嘆く。「水道水の検査を優先しているので、農産物は民間検査機関に依頼している。だが、民間機関もすでにキャパをオーバーしていて、これ以上、品目や検体数を増やすことはできません」。

厚労省が定めた「暫定基準値」そのものが問題だと指摘する研究者もいる。美作大学大学院の山口英昌教授(食環境科学)はこう憤る。

「セシウムの基準値で上限とされた500ベクレルという数字は、野菜などを1年間摂取し続けても、セシウムの総被曝線量が5ミリシーベルトを超えないという根拠に基づいて算出されている。しかし、一般人の年間被曝量の上限は1ミリシーベルトに過ぎない。なぜ突然『5倍浴びても大丈夫』となるのか」「セシウム137の半減期は30年。チェルノブイリ原発事故から23年が経過した2009年にスウェーデンから日本に輸入されたキノコが基準値を超えていたため、輸入禁止になったこともある。数十年単位で考えなければなりません

琉球大学の矢ケ崎克馬・名誉教授(物性物理学)も言う。「『基準内であれば食べてもいい』というのはまったくの詭弁。国家によるダマシです。少量であっても放射線が遺伝子を傷つけることは間違いない」---------



  • 厚労省に問い合わせてみた

厚生労働省のデマ冊子『妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします』に対し、5月に以下の質問をしてみた(厚労省質問フォームより送信)。

【大鬼の質問】

1ページ:「考えられません」「を考えた基準」の科学的根拠を教えて下さい。BEIR・2005年報告への反論があれば証拠を提示下さい。
 
2ページ:水道水について暫定基準はWHO基準よりもゆるいですが、科学的にこの基準で大丈夫と言える根拠を示して下さい。
 
3ページ:「わずかな値です」の放射線量とはガンマ線空間線量のみですね。吸い込んだ場合の体内被曝についてはどう考えますか。また雨について「心配しすぎる」具体例を示してください。
 
4ページ:赤ちゃんに対する暫定基準値が絶対に安全といえる科学的根拠を示して下さい。また「検査が行われ」ているのは流通する食品全体のうち何%ですか
 
最後に、放射能を同意なしに摂取させて被ばく量すら測らせないことは、憲法で定められた基本的人権を侵害する行為です。私たちは体内被曝を監視・防止するため、第一に体内被ばく量検診(ホールボディカウンタ車とアルファ線・ベータ線核種を測る排泄物検査)を全国で実施すること、第二にすべての食品・飲料に核種ごとのベクレル表示を義務づけることを求めていますが、実施を検討していただけるか、否の場合はその理由を答えて下さい。

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【厚労省の回答1】

食品中の放射性物質に関する暫定規制値につきましては、原子力安全委員会が、国際放射線防護委員会(ICRP)定めた、飲食物摂取制限に関する指標を食品衛生法上の暫定規制値としています。この暫定規制値の基となった原子力安全委員会の指標値は、1年に許容できる線量及び成人、幼児、乳児(赤ちゃん)のそれぞれについて放射能の影響の度合いと我が国の食品摂取量等を基に数値を算出し、その中から最も厳しい値を指標値として設定しています。このため、乳児にも配慮されたものと考えております
 
厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課

【厚労省の回答2】

メールは関係部署へ送付しておりますが、「最後に」以下の「第一に・・・」及び「第二に・・・」は当省においてお答えすることは困難ですので、ご了承願います。「第一に・・・」の部分は文部科学省、「第二に・・・」の部分は消費者庁が所管と思われますので、一度そちらへご質問いただけないでしょうか。大変申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

厚生労働省大臣官房総務課行政相談室
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BEIR-VIIまで明記して厚労省の「科学的」見解を問いただしたのに、原子力安全委員会がそう決めたからというだけで、自分たちで検証した科学的根拠などないという回答だ。サンプル数については完全スルー、この話題には沈黙らしい。

回答2について、大鬼はあくまで厚労省が人々の命と健康に関する中心的な責任を担うべきものと考える。厚生労働省健康局の所轄事務は「保健所等を通じた地域保健の向上」。地域保健法には、国の責任として「地域保健対策に係る人材の養成及び資質の向上に努めるとともに、市町村及び都道府県に対し、前二項の責務が十分に果たされるように必要な技術的及び財政的援助を与えること」(第3条)とある。さらに第4条でははっきりと厚生労働大臣の責任として、「保健所及び市町村保健センターの整備及び運営に関する基本的事項」や「地域保健対策に係る人材の確保及び資質の向上」を含む地域保健の「基本指針」を「遅延なく」定めることと書かれている。保健所の日常的業務の所管は地方公共団体だが、基本指針と人事に厚労省は責任をもっている。第6条と7条には、保健所の役割として、地域保健の向上、とくに「食品衛生」(6条3項)・「衛生上の試験及び検査」(6条13項)・「その他の疾病の予防」(6条12項)が定められている。厚労省は食品検査や体内被ばく測定などの放射能対策を推進する方針を打ち出し、全国の保健所で放射能検査が実施できるように機材・人員を確保すべきだ。311前のように特殊な限られた数しかない機関が放射能検査を担うのでなく、全国的な国家プロジェクトとして食品検査を位置づけるべき時だ。なお食品検査にかかるコストは原発災害がなければ本来必要なかったものであるから、原発関連産業が相当の負担をするのが道理であり、原発で潤ってきた企業には懲罰的な課税を実施すべきだ。

ちなみに『食品と放射能Q&A』というデタラメ冊子(市場に出回っているものは基本的に安全との主張)を出している消費者庁にも同様な質問をしたが、回答は一切なかった。



  • 産地偽装にご用心

全品検査どころか食品の1%も検査がされない現状では、次善の策として産地も判断材料にするしかない。風評被害なるものがあるとすれば、それは貧弱な食品検査体制によって多くの人が産地で判断することを強いられることで、結果的に安全かもしれない食品まで売れなくなる、ということだ。疑わしいものを危ないと見なすのは、利益より命を守らなければならない生活者にとって極めて真っ当な判断だ。厳密に言えば全品検査をして含有放射能がゼロであることが証明されない限りは風評被害は存在しえないのであって、消費者側が何を危険と見なそうが文句を言われる筋合いはない。

ただ「福島産」でなければ安心といった思い込みには注意が必要だ。福島以外でもホットスポットは多くの県に存在している。土壌汚染の分布から考えれば、例えば千葉県北部産の方が福島県西部産よりも汚染されている可能性も十分ある。

もっと困ったことに産地情報そのものが信頼できないブレンドして産地を特定せず「国産」として売るだとか、別の場所に移動して処理し「他県産」として売るといった、実質的には産地偽装と言えるようなことが行われている(もちろん関係者は偽装ではないと言い張るだろうが)。金が何よりも大事という社会の病理だ。産地は誰もがだまされないような形で正直に全部表示することを法的に義務づけるべきだ

水産物の産地表示は、JAS法で表示義務はあるものの、「水域名又は地域名(主たる養殖場が属する都道府県名をいう。)を記載。水域名の記載が困難な場合は水揚港名又は水揚港が属する都道府県名を記載することができる。」とされている。つまり例えば福島県に近い水域で獲れても千葉県で水揚げすれば「千葉県産」ということになる。では「困難な場合」とはどういう場合なのか。誰がそれを証明するのか。百歩譲ってそういうケースがわずかにあるとしても、獲れた水域ではないことくらい正直に書かせるべきだろう。分かっている事実を記載することが困難な場合などありえない。とにかくこの法規定を知ってから大鬼は、国産の魚介類の産地表示に全く意味を見いだせなくなった

肉類の産地にも落とし穴がある。「スケープビーフ」とまで言われ汚染食品の代表格となったセシウム牛問題で明らかになったことは、汚染地域のわらが流通すれば、牛の産地がどこであれセシウム牛になるということと、セシウム牛自体が福島から他県に売買されて移動している、ということだ。牛の場合、個体識別ができるためその気になれば移動履歴をトレースできるとのことだが、ほとんどの人はお店で表示されている産地だけを見て購入しているのでパッケージに表示されなければ意味がない。エサが何県産だったのかも通常は知ることができない。

さらに悪いことに、個体識別のできないブタなども汚染地域から全国に散っていた

女性自身(2011年8月9日号)「福島避難区域の豚1万頭は『他県産』に化けて全国の食卓へ」より抜粋 ------

7月15日、熊本県が豚から初めて放射性セシウムを検出したと発表した。牛肉だけでなく、豚肉までセシウムに汚染されたものが全国各地に流通していることが明らかになったのだ。

地元紙記者は「今回、解体された豚は、福島県川俣町で飼育されたものなのです」と語るが、福島県の養豚組合の担当者は「牛と違い豚には個体識別番号はありませんので、出荷地が生産地になってしまいます」と説明する。つまり、移送された豚は「福島県産」とはならず、食肉として出荷された地域からの「他県産」となってしまうということだ。

前出の養豚組合の担当者は「これまで緊急時避難準備区域と計画的避難区域から約1万頭が県外へと移動しています。出荷されたのは、主に長野県や群馬県、新潟県、熊本県など。いずれも避難先の県産として出荷されています」と明かす。

政府や県はこの事実を知った上で、豚の県外移動を認めている。食卓を守るために消費者が頼るのは産地表示。だが、「○○県産」だから大丈夫、というような判断は信用できなくなっているということなのだ。
(抜粋おわり)-----------

読売によると、この記事の「『熊本産』豚肉からセシウム検出」という見出し(ネット版にはない)に対して、熊本県が「事実と異なる」として抗議し、女性自身は8月16日号で「正しくは『福島県で飼育された豚から移送先の熊本県でセシウム検出』です」と「訂正」したという。税金を使ってスパイ行為をしているエネ庁からのたれ込みでもあったのだろうか。この手の報道だけは熱心な読売も含め、いかにも業界利益優先の原発容認派らしいナンセンスな揚げ足取りだ。何がどう事実と異なるのか?熊本県が抗議したのは熊本産豚からセシウムが出たという誤解を招くとのことだが、記事には「熊本産豚」ではなく「『熊本産』豚」と書いてあった。そこが重要である。日本語で言葉を「」に入れると"いわゆる"とか"本来そう表現すべきでないが"といった含意を伴うという常識を理解できていて、1回でも本文を読めば、福島県産の豚が熊本に移動していずれ「熊本産」として出荷される(そのような豚が全国で1万頭もいた)ことがこの記事のポイントであることは誰にでも分かる。産地表示が信頼できないということを正しく追求した記事だと思う。



  • 結論:海外産を食う!

検査もろくにしない、産地は偽装する、規制値はゆるすぎる、これでは国産の食べ物を食べるなと言われているようだ。食品放射能汚染の問題は今後何十年も続くもので、原発事故が収束に向かえば終わりといった話ではない。情報をもたない人たちや諦めた人たちは食べ続けるのだろうが、逃避したところで、放射能は摂取すればするほど癌・遺伝子障害等のリスクが増え、安全なしきい値も存在しない、という科学的事実からは逃れられない。日本の食べ物が大好きな大鬼としてこれだけは言いたくなかったが、残念ながら現状では輸入食品で代替できるものはそうした方が無難だと言わざるを得ない。早く日本の食べ物を安心して食べられるように、声を上げよう!



  • とはいえ・・・

食べないわけにはいかないものもあるので、個別の食品や産地の情報を追っていくしかないわけだが、情報が毎日山のように出てくるので大鬼は正直お手上げ状態。そういう時は人に助けてもらおう。そして自分も情報を出して助け合おう。がんばって情報をまとめてくれたり問い合わせたり測定までしてくれている人達に感謝。勝手に紹介しておく。

子供を守ろう Save Child:食品放射能関連ニュースまとめ
atmc-Tokyo:食品放射能関連ニュースまとめ
木下黄太さんのブログ:いろんな人がメーカーに問い合わせた情報をシェアできる
OK Food:様々な商品・工場の産地などのまとめ


<市民放射能測定所>

日本版クリラッド、市民放射能測定所がついに福島で設立された。クリラッドはチェルノブイリ後に原発大国フランスの政府が情報隠蔽を続け、それに怒った市民達が設立した民間非営利の放射能測定機関だ。市民放射能測定所は日本全国の都道府県に1つずつ測定所をつくることを目標にしている。食品検査もすでに開始している。こうした利権に囲われていない独立の測定機関が存在することは、電力会社・政府による情報隠蔽・情報操作への重要な歯止めとなる。食品検査・内部被曝検査・土壌検査などは物量勝負であり公的な責任において行われるべきであるが、いわば監査機関としての市民放射能測定所の取り組みに大いに期待したい。


<食に関する週刊誌の気になる記事>

週刊現代

2011年8月6日号
牛肉だけじゃない:新聞・テレビがパニックを恐れて報道を自粛する「いま福島県で起きていること」
ICRPの健康基準なんか、信用してはいけない

2011年7月30日号
わが子のオシッコからセシウムが出て
あなたの食卓にセシウム汚染牛肉

週刊朝日

2011年8月12日号
セシウム汚染「どのブランド牛なら安心?」産地の対策徹底調査
甘辛ジャーナル/セシウム牛肉問題の「責任者」を名指しするべきでは?

2011年8月5日号
「おたくの肉は大丈夫?」セシウム全国へ、百貨店、料理店などを直撃

AERA

2011年8月1日号
宮城産として仕入れた、給食から見つかった汚染牛肉

2011年7月25日号
検査せずに千頭を出荷セシウム牛肉を見逃した農水省の罪

2011年7月18日増大号 
魚で進む「放射能濃縮」汚染された海で何が起こっているのか
ユッケの5倍怖いレバ刺し「肉食女子」はどうする

サンデー毎日

2011年8月14日号、
イオン、ファミリーマート、三越伊勢丹:全国30社放射能対策、「独自検査なし」は23社
その水は安全ですか?

2011年8月7日号
終わりなき食汚染:「セシウム米」が実る秋

2011年7月31日号
それでも危ないひき肉、モツ、タン
乳業トップ3社直撃「原乳の原産地、放射能対策は?」
セシウム牛、牛乳 安全の「想定外」

2011年7月24日号
「放射能」と闘うニッポンの母

2011年7月17日号
ついに福島の子どもの尿からセシウム
内部被曝に克つ「食の防衛 食の安全工程表一挙公開!

週刊金曜日

2011年7月29日号
地獄への入り口はすでに開いた:9月頃が大変なことになる (水口憲哉)
水産庁のモニタリングデータから:水産物の汚染度を読み解く (中地重晴)
ストロンチウム魚への不安 (片岡伸行)
今、知っておきたい産地表示の落とし穴:アバウトすぎる魚の表示 (垣田達哉)

2011年06月10日号
内部被曝をどう防ぐ?「基準値以下だから大丈夫」はウソ! (矢ヶ崎克馬)
妊娠中の人 授乳中の人 幼児がいる人:親が気をつけるべきことは? (崎山比早子)



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2011/08/06(土) 16:41 大鬼
文部科学省が広域で実施している航空モニタリング測定について、6月末に計測された宮城県と、7月半ばに計測された栃木県の測定結果が公開された。これまで公式の実測値では福島県と茨城北部のごく一部しかデータがなかった。7月末に実施された茨城県の計測値も近く公開される。

宮城県については、福島と隣接する県南部だけでなく、県北部の気仙沼・藤沢・栗原・大崎・加美などで汚染濃度が高くなっている。県中央部も、セシウム堆積量で見ると福島県西部や栃木県北部に匹敵するレベルになっている。栃木県については、北側半分が集中的に被曝しているようだ。特に那須・那須塩原・矢板・日光にはかなりの面積のホットスポットが存在する。広域で見ると80km地点くらいまではほぼ全方位に超高濃度汚染地域が広がっており、加えて二本松・郡山・那須・日光を経ておそらく群馬県の高崎方面へ向かったと思われる超高濃度放射能雲の通過ラインが浮かび上がっている。また福島県南部・北茨城・日立・ひたちなかへと向かう海沿いの南向きのルートも見える。宮城県北部の高濃度汚染はおそらく岩手県南部へとつながっており、いったん太平洋上空に出た放射能が再上陸してできたように見える。原発から160km以上離れた宮城県北部や栃木県日光でも高濃度の汚染が見られることがはっきりした福島だけが危ないという認識は改めなければならない。より精密な土壌調査でホットスポットを割り出し、いまだに情報が乏しいストロンチウムやアルファ線核種についても調査していく必要がある。首都圏や新潟の航空モニタリングも急いでやってもらいたい

<参考までに>
空間線量については、毎時0.11マイクロシーベルト以上だと1年間で年間許容限度とされる1ミリシーベルトを外部被曝だけで越える。土壌汚染については、チェルノブイリではセシウム137の地表堆積(ベクレル/m2)が37000(37K)以上で汚染地域とされ、185000(185K)以上で補償つき任意移住が認められ、555000(555K)以上は強制移住、1480000(1480K)以上は強制移住&立入禁止ゾーンとされた。セシウム134と137はほぼ同量ずつと考えて良い。

文科省航空モニタリング_広域空間線量

文科省航空モニタリング_広域地表セシウム


福島県のセシウム土壌汚染マップ
(計測日:2011年5月18~26日)

文科省航空モニタリング_福島県中心地

宮城県の汚染マップ
文科省航空モニタリング_宮城県空間線量

文科省航空モニタリング_宮城県地表セシウム

栃木県の汚染マップ
文科省航空モニタリング_栃木県空間線量

文科省航空モニタリング_栃木県地表セシウム


※画像をクリックすると拡大されます


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文科省ようやくWSPEEDI予測値(広域汚染状況)の一部を公表:東京もチェルノブイリ第三区分入りが濃厚に

 
 
2011/07/16(土) 21:23 大鬼
■ 菅首相が脱原発方針を表明

菅直人総理大臣は7月13日、脱原発をめざすことを以下のように日本の首相として初めて表明した。

「私自身、3月11日の原子力事故を経験するまでは、原発については安全性を確認しながら活用していくという立場で政策を考え、また発言をしてきました。しかしこの大きな原子力事故を私自身体験をする中で、そのリスクの大きさ、例えば20km圏から避難をしてもらわなければならない・・さらには最終的な廃炉という形までたどり着くまで5年、10年あるいはさらに長い期間を要するわけでありまして、そういった原子力事故のリスクの大きさということを考えた時に、これまで考えていた安全確保という考え方だけでは、もはや律することができない、そういう技術であるということを痛感しました。これからの日本の政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至りました。計画的・段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく、これがこれから我が国が目指すべき方向だと考えるに至りました。国民の皆さん企業の皆さんの理解と協力があれば、この夏においてもピーク時の節電や自家発電の活用などによって、十分対応できると考えております。」

他方で「専門的な立場の皆さんのきちんとした提起があれば、そしてそれが大丈夫ということであれば」再稼働もあり得るとも発言した首相だが、再稼働の必要性は実はどこにも述べられていない。再稼働なしでも電力不足が生じないことは首相自ら認めている。


■ 総選挙なき首相退陣論にご用心

菅総理の脱原発方針は、急成長した日本の脱原発世論におされて出てきたものであり、決して一人の思いつきで出たものでも、彼がもともとやろうと思っていたことでもない。延命云々という議論もあるが、政治家とはそういう生き物であり、永田町は茶番劇場である。大鬼は民主中心でも自民中心でも世論を正確に反映していない政権・国会を基本的には支持しない。しかし世論の力で政治家・政党に圧力をかけて態度を改めさせることには大きな意味があると考える。今回の脱原発方針はまぎれもなく世論が可能にした状況だ。政府内からは首相の考えと政府の方針は違うといった見苦しい反論が出され、原発再稼働を何が何でも強行しろという財界の圧力もある中で、事態は予断を許さないものの、原発容認派が崖っぷちに立たされたことは明らかだ。早くも二日後には、文科相のもんじゅ中止示唆、福島県の脱原発宣言、と具体的な影響が出てきた。世論の力を見くびってはいけない。

ちなみに大鬼は、選挙で原発容認派を落選させて次期政権がより徹底した脱原発派政権になるという見通しが見えてくるまでは、菅総理の早期退陣論には反対である(解散総選挙をやるというなら話は別だが)。そもそも首相退陣論の発端は、脱原発側に傾斜しはじめた菅直人を原発推進派が首相の座から引きずり下ろすために やった不信任決議騒動の際の言った言わないレベルの話を推進派とマスコミが勝手に既成事実化したことであり、脱原発とは逆の方向を向いた永田町政治の産物である。敗退を続ける原発容認派に残された希望が、総選挙なしの菅おろし(つまり前原・岡田・枝野など原発容認派総理の樹立)だったが、菅に逆ギレされてむしろ菅を脱原発世論により近づける結果を招いた。この間の犯罪的な政府の対応から考えて菅内閣を支持する気にはなれないが、首相交代は全く別の話である。福島第一原発災害を引き起こした責任の多くは歴代自民党政権にあり、民主党内でも脱原発の足を引っ張っているのは現状では菅ではなくその取り巻きや霞ヶ関なのだから、闇雲に総理だけを叩くようなマスコミの論調はよこしまな考えに基づく世論操作だと大鬼は考える。


■ 新聞各紙の首相脱原発会見への反応

読売は原発容認派であり、執拗に誤った情報を書き続け、首相の脱原発方針にも当然否定的な態度をとっている。産経は破綻した原発推進派の主張を観察するにはいい。毎日と朝日は5月以降、脱原発に一定の理解を示してきた新聞であるが、毎日の主張はいまいちで、意外にも朝日の方がましに思えた。すべてウェブ版より。※以下は大鬼の反論


(1)    読売新聞、7月14日社説

脱原発宣言 看板だけ掲げるのは無責任だ

「深刻な電力不足が予想される中で、脱原子力発電の“看板”だけを掲げるのは無責任だ。」
→※電力不足がデマであることはもはや周知の事実。デマとこじつけで批判するのは無責任だ。

「原子力発電を補う代替エネルギーの確保策が、不透明なままだったことも問題である。」
→※代替エネルギー確保を妨害してきた読売など原発推進派こそ問題である

「自然エネルギーの普及は促進すべきだが、現時点では総電力の1%にとどまり、発電量は天候などで変動する。コストも高い。・・近い将来、原発に代わる基幹電力の役割を担えるほど見通しは甘くない。」
→※自然エネルギーは太陽・風・水・波・地熱など多様でありコストは原発に比べればすべて安い(最終処分や事故のリスクを計算から除外するな)。近年各国では飛躍的な普及が始まっており、例えば中国は2010年に原発17基分の風力発電を、ドイツは7基分の太陽光発電を新設した。主要国でやっていないのは日本だけ。

「火力発電で急場をしのげても、燃料費がかさんで電力料金が上がれば、産業の競争力低下を招く。工場の海外移転による空洞化も加速して、日本経済は窮地に立たされかねない。」
→※話が恐ろしく飛躍しすぎだ。電力料金を上げさせないオプションは多数ある。少なくとも電力会社の兆レベルの内部留保、毎年4500億円の無駄な原子力予算、ピーク時節電分、代替エネルギー新設までの期間、長期的コスト、持続可能性、などを考慮していない議論に説得力はない。空洞化など円高合意から20年以上続いている。今さら電力料金にこじつけている経団連米倉や日銀白河の受け売り。もしも最終的に命か多少のコストかを問われるのならば、迷わず命をとる。人の生命を脅かしてまで自己利益を追求しないでくれ。

「安全確保を徹底しつつ、原発利用を続けることが、経済の衰退を防ぐためには欠かせない。」
→※原発の安全確保が地震大国では不可能であることが、リスク0%だったはずの福島第一の事故で証明されている。

「代替電力の展望もないまま原発からの脱却ばかりを強調するのは、あまりにも非現実的だ。」
→※ピーク時節電と埋蔵電力でピーク時を乗り切れるという議論は多数あるが乗り切れないということを証明した議論は見たことがない。闇雲に電力不足を煽り原発に固執しつづけて日本列島をダメにするリスクをこれ以上押しつけることは、あまりに非現実的だ。

「原発のストレステスト(耐性検査)を巡る閣内不一致によって、九州電力玄海原発など、定期検査で停止している原発の再稼働に見通しが立たなくなっている。・・首相には、福島第一原発の事故に伴う国民の不安に乗じ、脱原発を唱えることで、政権延命を図る思惑もあったのではないか。場当たり的言動が、多くの混乱を引き起こしている。首相は、そのことを自覚すべきだ。」
→※世論調査参照。脱原発も再稼働反対も世論の支持を得ている当然の判断だ。菅が孤立しているとすれば、永田町こそが世論を無視して原発延命に奔走することで混乱を引き起こしている。


(2)産経新聞、7月13日記事

菅首相の「脱原発」宣言 企業活動、国民生活への影響無視

「菅直人首相が打ち出した『脱原発』宣言は、企業活動や国民生活への影響を無視したものだ。首相は今夏や冬場の電力不足は『節電協力で乗り切れる』としているが、企業活動やそこで働く生活者へのダメージは深刻さを増している。」
→※原発事故と電力不足デマによる「ダメージ」を脱原発のせいにするという典型的な世論操作。ピーク時節電は本当に産業界が協力すれば一番暑い時間帯にクーラーを断続的に何分か停止する程度で効果があり、大がかりな生産縮小など必要ない。

「首相自身が突如として全国の原発に対するストレステスト(耐性検査)を打ち出して混乱を引き起こす現実を前に、多くの立地自治体は政府を信頼できずにいる。」
→※世論調査参照。信頼されていないのは強引に再稼働を求める原発容認派の方である。

「『電力をどの程度使えるかがはっきりしないままでは、来年以降の経営計画も立てられない』と、経営者からの悲鳴は切実さを増している。」
→※国民生活への影響といいながら、つまるところ経営者と御用エコノミストの主張だった。

産経は熱中症やストーカー被害増加の原因を脱原発路線にこじつけるトンデモ記事(7月16日)のように、電力不足デマ・電力会社の不誠実経営・無駄な夜間節電などに関連する社会問題を脱原発路線のせいだと責任転嫁することに精を出している。産経が報道機関という体裁すらないむき出しの世論操作集団であることがよく分かる。


(2)    毎日新聞 7月14日社説

『脱原発』表明 目指す方向は評価する

「原発への依存を減らしていくこと、そして現実的にもそうした方向にならざるを得ないことは、私たちもこれまで何度も指摘してきたところだ。その考え方については基本的に支持し、評価したい。」

「しかし、首相のこの日の会見ではあまりに具体性が乏しい。将来とは一体、いつごろを考えているのか。代替エネルギーをどうやって促進していくのか。」
→※会見で首相はまだこうしたことを決められる段階ではないと述べた。背景には明らかに菅首相の方針に批判的な原発容認派閣僚の圧力がある。彼らにこそ具体策が決められない原因があることをはっきりさせるべきだ。

「いずれ遠くない時期に退陣するであろう首相だ。まず、政府・与党としての考えをまとめる作業を急いでもらいたい。」
→※市民そっちのけで首相退陣を勝手に既成事実化したのは原発容認派の政治家とマスコミである。確かに菅退陣世論は強いが、その理由は菅が浜岡を停止させたりエネルギー政策を見直すことでリーダーシップを発揮したからではなく、逆に政権として原発延命のために様々な嘘で市民を欺き放射能対策もろくに行っていない政権全体への批判であることは世論調査を見れば分かる。

「首相のリーダーシップで進めていくことは必要だ。しかし、民主党の執行部でさえ菅首相と距離を置き始め、絶えず退陣時期が焦点となっている現状を考えれば、個人的な意見の言いっぱなしで終わる心配がある。」
→※菅首相個人の人気がないことに便乗して、圧倒的な世論の支持を得ている脱原発を妨げ原発容認派政権を樹立することになる「菅おろし」を推し進めてきた勢力に注目しよう。

「来年夏以降に関しては、天然ガスを使う火力発電所の活用などを挙げたが、『計画を立てていきたい』と語るだけだった。これでは、ただでさえ方針が二転三転する菅内閣に不信感を強めている産業界などは納得しない。」
→※産業界のオピニオンが原発推進派に支配されている現状では「納得」などどうやっても期待できない。民主主義の社会として、自分と家族の命を守りたい普通の人たちの声が重視されるべきだ。原発推進から脱原発へと首相の方針を「二転三転」させてきたのは世論の力。


(3)    朝日新聞、7月14日社説

脱原発:政治全体で取り組もう

「国策として進めてきた原発を計画的、段階的になくしていくという政策の大転換である。・・首相の方針を歓迎し、支持する。」

「退陣を表明した首相が、国の根幹となり、社会のあり方を決めるエネルギー政策の今後を方向づけていいのかという意見はあろう。・・だが、自然エネルギーを飛躍的に普及させ、原発への依存を減らしていく方針への異論は少ないはずだ。誰が首相であっても進めなければならない、焦眉(しょうび)の政治課題なのだ。」

「ただ、首相の今回の方針も、例によって内閣や民主党内の論議を積み重ねたものではない。脱原発の具体策を示したわけでもない。そのぶん、発言の唐突さは否めない。」
→※閣内の原発容認派が抵抗していることについて良識ある市民はよく観察している。そんな中で世論よりも閣内コンセンサスを優先していたら、脱原発政策は遅々として進まない。大事な決定が「唐突」に出ざるをえない理由に目を向け、一体誰を批判すべきなのか考えてほしい。

「民主党はかつて原子力を『過渡的エネルギー』としていたが、政権をとった一昨年の衆院選で原子力利用に『着実に取り組む』と方針を転換している。菅首相も原発依存を高める計画を閣議決定し、原発の海外輸出を成長戦略に位置づけていた。・・自民党は過去の原子力政策を検証する特命委員会を設けて議論を始めている。電力業界や経済産業省とともに経済性を重視し、安全性を犠牲にしてこなかったか。真摯な反省が不可欠だ。」
→※原発利権とつるんで嘘を宣伝してきたマスコミも同じく反省が不可欠だ。

政治家が原発に固執することも、態度をはっきりさせないことも、絶対に認められないということを、次回の選挙ではっきりさせよう。


関連記事
日本は脱原発の道を選んだ(1)原発世論調査をまとめてみた
つぶやき(1)「菅降ろし」は与野党内の原発推進派による悪あがき、「電力不足」は嘘だった!

 
 
2011/07/16(土) 20:29 大鬼
■ 世界の流れは脱原発

当ブログでは以前、世界各国での原発賛否を問うたギャラップインターナショナルの世論調査(4月19日発表)を紹介した。311後、多くの国で原発反対が多数派となり、世界は「原発ルネサンス」の呪縛から目を覚まして脱原発へと踏み出した。

これまで原発容認世論が圧倒的に強かった原発大国、米国とフランスでも世論に変化が見られた。米国では4月14-17日に実施されたABCの世論調査で、原子力発電所の新規建設に、賛成が33%(前回2008年7月:44%)であったのに対し、強く反対の47%(前回23%)を含む反対は64%(前回53%)に昇った。フランスでは6月1-3日に実施されたジェルナル・デュ・ディマンシュの世論調査では、原発継続賛成22%に対して、段階的に廃止が62%、即時停止は15%で、脱原発派は合計で77%に達した。

脱原発先進国のドイツ・イタリアでは原発全停止が政治決定された。ドイツでは7月8日、脱原発法が成立し、停止中の旧式8基の即時閉鎖と10年以内の全原発廃止が決まった。すでに原発のないイタリアでは原発計画の再開が国民投票(投票率57%)で94.5%の投票者に否決され、原発のない未来が確定した。


■ 日本の原発世論調査:圧倒的な脱原発世論の形成

原発災害当事国の日本の世論はどうか。一言でいえば、日本の世論は原発容認から脱原発へときわめて劇的に変化した。歴史上例を見ないようような急激かつ大幅な世論の変質である。とりわけ変化が加速したのは4月末から5月にかけての時期で、その変化をリードしたのは女性だった。現状では原発再稼働は認めない、原発全廃まで5年または10年以内、次世代動力は再生可能自然エネルギー、という声が多数を占めるようになった。

以下、現在までに実施された国内主要メディアの世論調査の結果である。定義:原発容認=原発増やす+現状維持、脱原発=原発減らす(段階的)+全廃(即時)。

朝日新聞で継続したデータが得られるのは賛成か反対かの二者択一式。この方式だと漸進的脱原発派の一部が賛成にまわることが考えられるため、原発容認派がインフレする点に注意。この方式でも6月には賛否が逆転した。

朝日原発世論調査2011_1

読売新聞とNHKは4つの回答から選ぶより正確な方式。4月半ばまでは少数派であった脱原発派が、5月半ばまでに6割近くを占める多数派となったことが分かる。また脱原発派のうち原発全廃を求める声が着実に増加し続けてきたことが分かる。

読売原発世論調査2011_1
読売原発世論調査2011_2

NHK原発世論調査2011_1
NHK原発世論調査2011_2


毎日新聞は3つの回答から選ぶ(もはや原発増やす派を独立させる意味もないという)方式。毎日の調査で特に注目は男女の相違である。男性もいまや脱原発が多数派であるが、一貫して女性の方が脱原発(特に全廃論)が多いことが分かる。

毎日原発世論調査2011_1
毎日原発世論調査2011_2
毎日原発世論調査2011_3

定期検査中の原発の再稼働をめぐる是非では、現時点では再稼働反対が多数を占めるようになっている。朝日の質問には「国が求める安全対策が達成されれば」という前提条件がつけられているため、直接的な条件がついていない他のデータとは単純に比較できないが、6月後半から7月初旬にかけて世論が再稼働により批判的となったとも考えられる(ちなみに九電やらせメール発覚は7月2日)。
原発世論調査_再稼働の是非

原発全廃までの具体的スケジュールについては、朝日の7月調査で、将来全廃することに賛成の回答者のうち、5年以内または10年以内が58%と多数を占めた。ただしその他か無回答が9%あるので、即時全廃が必要と考える人の一部が「5年以内」からもれ落ちている可能性もあるだろう。

原発世論調査_全廃時期

菅内閣の是非については5月以降は不支持が増え続けている。支持しない理由のトップは「実行力がない」であり、これだけではどういう政策が不支持を招いているかは分からない。しかし上記のデータから、菅総理が行ってきた脱原発につながる対応が原因ではないことは確実である。例えば浜岡原発の停止判断については圧倒的多数の人が支持している。菅内閣の支持率が落ち続ける主な原因は、長引く原発災害や広がる放射能汚染で安心した暮らしが奪われたことへの一般的な怒りとともに、SPEEDI隠しや学校20ミリシーベルト問題に見られたような数々の非人道的対応、とりわけ情報隠蔽や安全デマで、政府が信用を失ったことにあると思われる。ここまでやられてしまったからには、総理がいくら脱原発に向かう行動を起こしても(それ自体は評価できるにしても)、ただちに政権として支持するわけにはいかない、というのが多くの人々の感覚ではないだろうか。

原発世論調査_浜岡停止是非
原発世論調査_事故対応

原発世論調査_政府情報信用


■ 311後の4ヶ月間の主な出来事

世論が4月後半から5月にかけて脱原発へと劇的に動いた背景を考えてみる。

<311後の主な出来事>

3月11日 福島第一原発事故発生、数日以内にメルトダウン(ただし情報隠蔽)
3月12日 1号機爆発
3月14日 3号機爆発、2号機ベント
3月15-16日 首都圏・伊豆まで大量被曝(ただし情報隠蔽)
3月17日 厚労省、食品放射能の暫定基準値を発表
4月2日 2号機ピット亀裂から超高濃度汚染水が流出
4月4日 高濃度汚染水の意図的放出
4月10日 原発やめろ高円寺デモ
4月11日 20km圏外にも計画的避難地域、発表される
4月12日 レベル7へ引き上げ
4月18日 菅総理、原発政策の白紙化を表明
4月19日 文科省20ミリシーベルト許容を通達
4月25日 SPEEDI一部公開(原発周辺地域の放射能予測値)
4月29日 小佐古内閣官房参与の暴露辞任
5月1日 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク発足
5月6日 菅首相、浜岡原発停止要請
5月7日 原発やめろデモ 東京・大阪・神戸・福岡など
5月8日 敦賀原発で放射能漏れ事故発生(21日に再び漏れ)
5月6-10日 航空モニタリング結果公開(福島実測値)・WSPEEDI一部公開(首都圏含む広域予測値)
5月10日 菅首相、エネルギー政策の白紙見直し方針発表
5月12日 東電1号機メルトダウン認める、東京新聞・電力不足キャンペーンのウソを暴く
5月14日 東電2・3号機もメルトダウン認める
5月16日 NHK・ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図」放送
5月18日 菅首相、発送電分離の検討を発表
5月23日 福島の親たち文科省包囲、参議院行政監視委員会で小出氏・石橋氏ら発言
6月2日 内閣不信任決議否決(衆議院本会議)、「退陣表明した」とマスコミ報道
6月6日 保安院、プルトニウム等の大気中放出認める
6月11日 611脱原発100万人アクション
6月13日 東京連合こども守る会発足
6月26日 玄海原発再稼働をめぐる説明会でやらせメール(7月2日に発覚)
6月27日 福島で体内被曝量検査始まる
7月6日 菅首相、原発ストレステスト実施方針を発表
7月11日 セシウム牛肉の全国拡散が確認される
7月12日 子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク発足
7月13日 菅首相、脱原発めざすと表明
7月15日 福島県が脱原発宣言、文科相もんじゅ中止を示唆、広瀬氏ら政府東電要人を刑事告発

311発生からおよそ1ヶ月間は原発事故について考える余裕もなく、情報もかなりガチガチに統制されていた。4月に入ると東電・政府・マスコミ・学者らの言っていることに異議を唱える人がネット上では増えはじめた。広瀬隆氏・小出裕章氏のような反骨の知識人やECRR・チェルノブイリ研究者・エンジニアなど海外の専門家の情報にアクセスした素人がネット上で反乱を始めた。事故の情報だけなく放射能のリスクについても嘘が徐々にばれていく。

4月10日の東京高円寺デモは、初めて目に見える形で異論が表面化した重要な転換点だった。レベル7への引き上げで事態の深刻さに気づきネットで情報を探すようになった人もたくさんいただろう。しかしなんといっても大きかったのは、4月後半から始まった学校の放射能をめぐる政府と親たちの正面衝突であり、それを契機として福島から首都圏へと拡大していった放射能から子どもを守る親たち(特に母親)の行動(署名・学習会・宣伝活動・独自の放射能測定活動・自治体要請など)である。また放射能の影響を受けやすい若年層を中心に、原発利権や政府マスコミにデマだ風評だと目の敵にされてきたネット上の情報が実は真実ではないかと考える人が増えていった。葉野菜・キノコ・牛乳・魚・海藻・茶・肉など飲食品の放射能汚染の情報がどんどん出てきて「風評被害」が実は本当の放射能被害だったことが明らかになってきた。広域の放射能汚染(WSPEEDI・土壌調査)や海外の機関の情報から、放射能汚染は福島だけでなく日本全体そして北半球全体の問題であることが明らかになった。このように深刻な放射能汚染の実態がある程度知れ渡った時期と、原発反対が多数となった時期が重なる。

つまり脱原発の世論は、放射能は嫌だという訴え、まともな放射能対策を求める声と表裏一体だ。5月23日文科省包囲や6月11日全国的デモではっきりと示されたノー放射能・ノー原発の世論の急成長に対し、マスコミも政府も態度を改めざるをえなくなった。浜岡停止要請や原発政策見直し・発送電分離方針・再生エネルギー法案・ストレステスト、そして脱原発会見といった菅総理の一連の動きも、世論におされて出てきた。日本社会で孤立しているのは首相というよりその取り巻きであり、永田町・霞ヶ関界隈は世論からどんどん遠ざかっている。どんなに首相の脱原発方針自体が歓迎であっても、今後のエネルギー政策に論点を限定し、現に進行中の放射能被害を過小評価し、情報隠蔽と安全デマで市民をだましながら放射能汚染食品や汚染環境での暮らしを押しつけている政権に、世論は支持を与えていない。政府がいま命を守る政策に転換することを世論は求めている。


関連情報
日本は脱原発を選んだ(2)菅総理の脱原発会見、各紙社説を斬る
土壌調査をまとめてみた:広域での体内被曝検診を求めます

世界は原発にノーと言っている(ギャラップ国際世論調査):問われる民主主義のクオリティ

 

 
2011/06/17(金) 21:38 大鬼
菅降ろしに必死になっている原発推進派の政治家と財界は、人々の怒りを利用して勝手に首相退陣を既成事実化し、「大連立」という強権政治で人命軽視の政策を押し切ろうと企んでいる。菅降ろしでふっきれた首相は、自然エネルギー促進にやる気を出している。人命優先の政策にこの国を転換させるには、普通の人々が情報を共有して、本当のリスクを知り、アクションを起こしていくしかない。


これまで広域での放射能汚染の実態は、事故から2ヶ月経ってたった2日分が公開されたWSPEEDIの予測データと、実測ではあるが局所的な土壌調査の結果から、全体像を推測するしかなかったが、6月に入り新たな情報が出てきた。


■ 筑波大のセシウム137広域汚染地図

筑波大学アイソトープ総合センターの調査団が、3月下旬から5月初旬にかけて、首都圏の一部を含む国道沿いの空き地など110カ所で土壌を採取し、地表のセシウム137濃度を測定した。数値は3月29日時点のものに換算されている。サンプル数の少なさから考えればこれも完全な実測データとは言い難いが、これまでよりは精度の高い広域汚染地図を示した意義は大きい。以下の画像は報道された調査結果に地図を重ねたものである(英数テキストは大鬼が追加)。

筑波大学土壌セシウム広域汚染地図
※画像をクリックすると拡大されます

福島市・郡山市など福島県内で人口の多い地域や栃木県の一部が、チェルノブイリでソ連政府により補償付き任意移住が認められたゾーン(5-15Ci/km2)と同じレベルの超高濃度汚染エリアとなっていることが分かる。また首都圏の一部でいわき市などと同レベルの高濃度の汚染エリアが確認された。ちなみにそれと同じレベルのベラルーシの放射線管理強化ゾーン(1-5Ci/km2)で、安全に生活できると言われていたにもかかわらず、チェルノブイリ後の20年間にガンや白血病などの増加が見られた事実については、こちらの記事に書いた。全体的にみれば、WSPEEDIの予測データとほぼ同じ結論が得られたことになる。つまり、福島の市街地の一部は人が住むのに適さないほど汚染されており、また首都圏も対策なしに暮らしていけば犠牲者が出るレベルにまで汚染されている。セシウム137の半減期は30年で、微量となるには100年以上かかる。


■ 東京23区地表放射線量マップ(有志)


政府の公式の空間線量(場所によってはビルの屋上で測っていたりする実用性の乏しいデータ)に基づく広域空間線量マップもあるが、それよりもガイガーカウンタを所持している有志が各地で計測してくれている地表面の放射線量の方が汚染状況を把握する上で参考になる。以下はこちらのサイトからキャプチャさせていただいた東京23区内の一部で計測された地表線量地図(赤=2-1μSv/h、紫=1-0.5μSv/h、黄=0.5-0.25μSv/h、青=0.25-0.1μSv/h、何の表示もないエリアの大半は未計測)。錦糸町でも毎時1.75マイクロシーベルトという非常に高い放射線が検出されていることに注目。0.1マイクロシーベルト/hは年間で1ミリシーベルト。

東京都23区地表放射線量マップ ※画像をクリックすると拡大されます


■ 航空モニタリング第二弾


文部科学省と米国エネルギー省によるヘリを使った航空モニタリングの5月26日版が公開された前回のものと比べてわずかにしか広域になっていないのはあまりに残念だが、福島を中心とした超高濃度汚染エリアのより細かな分布が分かる。空間線量は地表から1メートル地点でのガンマ線の値である。最も恐い内部被曝で問題になるアルファ線やベータ線は計測していない。最もリスクが大きい幼い子供のことを考えれば、なるべく地表付近で計測すべきである(地表ではこの数倍となる)。0.1マイクロシーベルト/hは年間で1ミリシーベルト。

航空モニタリング5月26日土壌セシウム 航空モニタリング5月26日空間線量
※画像をクリックすると拡大されます


6月24日追記:6月17-20日に実施された福島市一斉放射線測定では、市内1118カ所(高さ1メートル地点)のうち73%が1μSv/h(年間で10ミリシーベルト、上の図では緑色)以上、最高6.7μSv(上の図では黄色)であった。


■ 文科省WSPEEDI3月15日分の一部を公開

あいかわらずWSPEEDIを隠蔽し続けている文科省が、3月15日分の予測データの一部を(6月初旬から半ばの間に)こっそり公開していた。情報隠蔽により人々に無駄な被曝をさせて犠牲者を増やしたことへの謝罪はない。当ブログの読者である天狗さんからいただいた画像により、政府はすでに3月15日にWSPEEDIのデータを持っていたことは分かっていたが、なぜかそれとは違うデータが出てきた。以下は、実測値ではないが、3月15日に発生したクリプトン85・ヨウ素129・セシウム137の拡散予測データである。当然絶対量は分からないが、相対的な濃度分布と放射性プルームの予測進路は示されている。濃い放射性プルームが首都圏にまで届いていたことが分かる。

WSPEEDI20110315クリプトン85


■ 猛毒放射性物質も検出される中、遅れに遅れる検査:人命優先への政策シフトを急げ!

政府・東電はこれまで、内部被曝で問題となるいくつかのα・β線核種について情報を隠蔽してきたが、2011年6月5日に放送されたETV特集「続報:放射能汚染地図」により、2km地点の住宅地の土壌から福島第一原発由来のプルトニウムが検出されたことが明らかにされた(金沢大学が測定)。その後、6月13日に文科省が公表した報告によると、4月29日から5月1日に採取された20km圏内の土壌から、ストロンチウム89/90、ウラン234/235/238、プルトニウム239、アメリシウム241、キュリウム242が検出された(例によってUとPuについては屁理屈をこねているが)。アメリシウムもキュリウムもα線を出す猛毒の放射性物質であり、ごく微量でも摂取すると危険だ。海と水産物の放射能汚染は前代未聞のレベルになっている。

こうした危機的状況にもかかわらず、政府は効果的な放射能除去対策をほとんど行わず、必要不可欠な検査も著しく遅れている。ようやくこの6月下旬から福島県内で内部被曝検査が始まるが、最初は1日数十人しか検査できないという。一体何をやっているのか。ホールボディカウンタが不足しているのは誰の目にも明らかであり、国内で早く増産すべきだ。当然のことながら、α線・β線を計測できる排出物検査もあわせて行う必要がある。また広域汚染地図からも明らかなように、首都圏でも相当な内部被曝をしている人々がいるため(ベラルーシでも内部被曝量については低濃度汚染地域と高濃度汚染地域で大差なかった)、広域での無料の内部被曝検診も求められる。被曝検査を抽出検査にするとか超高濃度汚染地域に限定するといったバカげたことを国がいい始めたら世論で変えさせよう。

将来の犠牲者を少なくするには、内部被曝を予防するための食品の検査と情報公開が何よりも重要だ。現状では厚生労働省の非人道的政策により、緩すぎる暫定基準の問題に加え、十分に検査できる機器も人材もそろえていないために、ほとんどすべての食品が検査を受けずにお店に並んでいる。農水省は超高濃度汚染地域でも作付けを認めており、水産物は捕れた水域ではなく漁港を産地としている有様だ。科学的には放射能に安全な量などないのだから、放射能が残留してないことを証明しなければ「風評」という主張はそもそも成り立たない。むしろ情報をなるべく与えず安全とだまして放射能を食べさせるという前時代的な政策が、東日本の食品や国内水産物から良識ある人々を遠ざけている。保健所を中心とした食品・飲料品・給食等の放射能検査体制を抜本的に拡充し、暫定基準にかかわらず食品の放射能情報を公開すべきだ。
 

関連記事
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根本から間違っていた計算方法:放射能安全基準をめぐるICRPとECRRの対立
 
 
2011/06/09(木) 14:27 大鬼
611脱原発公式バナーs

永田町の原発推進派は菅降ろしに躍起になっていますが、ここで時代を逆戻りさせるわけにはいきません。わたしたちの揺るぎない答えは脱原発だということをはっきり示してやりましょう。家族・友達みんな引き連れて、6・11の乱・世界同時脱原発100万人アクションに参加しよう!

「6・11脱原発100万人アクション」公式ホームページ
とりあえず賛同フォームに登録しておきましょう


■ 国内の主なイベント開催地

2011年6月11日(土)全国47都道府県のうち40都道府県(6月8日現在)でイベントが実施されます!これは歴史的大乱だと思います。

北海道:札幌、江別、旭川、函館、釧路
青森:青森
秋田:秋田
宮城:仙台
福島:郡山x2、南相馬
茨城:つくば
栃木:宇都宮
群馬:前橋
埼玉:さいたまx3、越谷
千葉:千葉x2
東京:練馬、新宿x4(18:00アルタ前)、渋谷(13:00代々木公園)、千代田x2、江戸川x2、港、台東、中野、小平、小金井、国立、町田、八丈島
神奈川:横浜x3、横須賀x2、鎌倉、秦野
新潟:新潟
富山:富山
石川:河北
福井:福井
山梨:甲府、北杜
長野:松本、長野、中野、佐久
岐阜:岐阜
静岡:浜松、静岡
愛知:名古屋x2、愛西
三重:伊勢
滋賀:高島x2
京都:京都x3
大阪:大阪x2、豊中
兵庫:神戸、加古川、篠山
岡山:岡山x2、倉敷
鳥取:米子
島根:松江
広島:広島x4、福山
山口:上関、山口x2、宇部
香川:高松
愛媛:松山
高知:高知
福岡:福岡
熊本:熊本、天草
宮崎:宮崎
鹿児島:鹿児島
沖縄:那覇x2、西表島



全国の最寄りイベントの検索・詳細はここから(右の方から一覧表もダウンロード可)



完全ライブ中継プロジェクト日本の独立系メディアが総力を挙げて配信予定!中継ボランティアも募集中


ポスターはご自身で用意するかここからダウンロードして印刷しましょう

脱原発ポスター展作品のスライドショー動画




■ 海外の主なイベント開催地


台湾
2011年6月11日 13:00 -
全土200ヶ所以上の駅
http://www.tepu.org.tw/

サンフランシスコ
2011年6月10日 15:30 - 17:30
The Consulate General of Japan (50 Fremont St), San Francisco, CA
http://nonuclearaction.wordpress.com/610action/

ニューヨーク
2011年6月11日 13:00 - 15:00
Tompkins Sq Park(9th Street & Avenue A), New York, NY
http://bit.ly/mH2jfH

ハワイ
2011年6月12日 11:00 - 19:20
ハワイ島/コナ Old Airport Pavilion

ドイツ
2011年6月11日 10:30 - 17:00
Treffpunkt Freiburg Schwarzwaldstr. 78d 79102 Freiburg-Oberwiehre/Waldsee Germany Zentrum Oberwiehre (ZO) の裏側

フランス
2011年6月11日 14:00 - 20:00
レピュブリック広場からオテルドヴィルまで14時からデモ行進

オーストラリア
2011年6月11日 11:00 -
メルボルン・シティ中心部バークストリートモールのGPO前


■ 各地の611チラシを勝手に紹介

<ベスト10>
※画像をクリックすると拡大されます


群馬県前橋より:大鬼賞、クオリティ高い!魚のってるよ。原発なくてもエエジャナイカ大行進
611脱原発群馬



愛知県愛西より:中鬼賞、真ん中に木があってかわいいデザイン、いのちこそたからですね
611脱原発愛知


広島県広島より:原爆ドームから呼びかける、伊方・島根・上関原発をストップ!
611脱原発広島


熊本県熊本より:うーんすごいデザインだ、さよなら原発
611脱原発熊本


秋田県秋田より:かっこいい!原発反対秋田デモ
611脱原発秋田


福岡県福岡より:パンクで核心を突いていますね、玄海再開を許すな、サウンドデモin福岡
611脱原発福岡


兵庫県神戸より:命優先の社会を!いのちを考える神戸パレード
611脱原発神戸


岡山県岡山より:エネパレ、唄って踊って脱原発
611脱原発岡山


埼玉県越谷より:セシウム暫定基準ぎりぎり!でもこうやってきちんとベクレル表示してほしい。検査なんてやっていないに等しいので、放射能の表示がないのが一番こわい。
611脱原発埼玉  


富山県富山より:志賀原発にモノ申す越中騒動!絵がすばらしい!シフトエナジーサウンドデモinとやま
611脱原発富山


<他にも日本全国チラシがいっぱい!>
※画像をクリックすると拡大されます


福島県郡山より:福島から日本を変える時が来ました!
611脱原発福島


神奈川県横浜より:ゆるっ。子供の未来のために一緒に歩こう
611脱原発横浜


北海道札幌より:かわいい。ぴくにつくでも
611脱原発札幌


京都府京都より:京都ピースウォークです、次は若狭の原発を止めましょう!
611脱原発京都


東京都国立より:あるいてみにゃー、原発どうする!たまウォーク
611脱原発東京国立


北海道旭川より:なのはなウォークにいきましょう

611脱原発北海道旭川


滋賀県高島より:オルタナティブ名世界へ向けて田植え
611脱原発滋賀


茨城県筑波より:みんな唱ってる、お星様と赤ちゃんがイラナイと言ってる
611脱原発茨城


静岡県静岡より:静岡は浜岡なくても風力王国になれるよ、菜の花パレードはまおか
611脱原発静岡


鹿児島県鹿児島より:鹿児島の皆さんお願いします、川内原発を廃炉にして!げんぱついらないパレードinかごしま
611脱原発鹿児島


<海外より>

米国サンフランシスコ・ニューヨークより:福島のどさくさに紛れて核実験をした米国からの反乱、核兵器のない世界を!6.11 No Nuke Action

611脱原発米国



■ テンション上げ用動画

さあテンションあがってきましたか?まだ足りないですか?じゃあこれを!

手のひらを太陽に
グリーングリーン(ua)
花・すべての人の心に花を
海行かば山行かば踊るかばね
2011反原発リミックス【NEW】
誰にも見えない匂いもない2011【NEW】
宇宙大シャッフル
JUMP



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世界と日本の反原発ソング集:レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、ボブ・マーリー、レディオヘッド、クラフトワーク、ニューエストモデル、ブルーハーツ、忌野清志郎、中島みゆき、加藤登紀子、斉藤和義ほか
つぶやき(3)アレバの汚染水処理はデタラメ!、電力会社の違法労働現場、原発資本が放射能薬剤に関与、原発メーカー東芝WH・日立GEに反省なし
つぶやき(1)「菅降ろし」は与野党内の原発推進派による悪あがき、「電力不足」は嘘だった!
 
 
2011/06/08(水) 09:41 大鬼
つぶやきシリーズ:ツイッター上での自分のつぶやきとリツイートから、これだけは保存しておきたいものをテーマ別にまとめて掲載。補足コメントや参考資料なども順次追加。
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■ この東京三鷹の母乳セシウム137濃度4.8Bq/kgは、ドイツ放射線防護協会がこれ以上は子供に与えないようにとしている4Bq/kgという値を上回っています<http://bit.ly/m823Ov(2011年5月21日つぶやき)


<補足コメント>

国がちゃんとした検査をやらないので、市民団体「母乳調査・母子支援ネットワーク」が5月に独自に調査しました。

<参考資料>

OurPlanet-TVのHPより引用

母乳の検査は、前回4月21日に公表した9人に加え、新たに福島県、茨城県、千葉県、栃木県、東京都在住の母親計40名から母乳の提供を受け検査をした。
 
検査の結果、茨城県土浦市在住の母親からは、1キログラムあたり、セシウム137が8ベクレル。福島県福島市の母親の母乳からは、セシウム134が 5.1ベクレル、福島県西白河郡の母親からは、セシウム134が4.8ベクレル、セシウム137が5.7ベクレル。福島県いわき市の母親からは、ヨウ素 131が5.5ベクレル。東京都三鷹の母親から、セシウム137を4.8ベクレル検出した。

東京在住の母親からもセシウムが検出されていることから、母乳調査・母子支援ネットワークの発起人で四日市大非常勤講師の河田 昌東さんは「特定はできないが、食べ物、飲み物が原因と考えられる」「母親が摂取した放射性物質の20%が母乳に入る」という。

日本の食品の暫定基準は、飲料水/牛乳・乳製品が、ヨウ素で1リットル300ベクレル以下、セシウムでは1リットル200ベクレル以下と定められているが、ヨウ素、セシウムともに1リットル10ベクレル以下としているWHOの基準より、20倍から30倍緩い基準となっている。

母乳の放射能汚染に関する調査結果

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■ 福島県21人中7人の母乳から最大13ベクレル/kgの放射性セシウム検出。厚労省側は「乳児に影響なし」主張。ドイツ放射線防護協会の4Bq、米国水基準7.4Bq、WHO水基準10Bqからみれば「微量」どころか基準オーバー <http://bit.ly/kRL6b2(2011年6月8日つぶやき)


<補足コメント>


赤ちゃんはたくさんお乳を飲むのです。

<参考資料>

毎日新聞(2011年6月7日WEB版)より引用

厚生労働省研究班は7日、母乳中の放射性物質の調査結果を発表した。福島県など8県の108人を調べ、福島県在住の7人から微量の放射性セシウムを検出したが、主任研究者の欅田(くぬぎた)尚樹・国立保健医療科学院生活環境研究部長は「非常に低いレベルで、母体や乳児への影響はない」としている。

調査は福島県と周辺の宮城、山形、茨城、栃木、群馬、千葉の各県と、比較のため原発事故の影響がないとみられる高知県の女性を対象に実施。福島県内の21人中、いわき市などの7人から最大1キログラム当たり1.9~13.1ベクレルの放射性セシウムを検出。

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■ ガンダーセン氏:東京の空気中から極めて毒性の強いアメリシウム(α線核種)とストロンチウム(β線核種)を検出<http://bit.ly/ks59tP(2011年6月7日つぶやき)


<補足コメント>

アメリシウムはやばいです。当ブログでは3号機使用済み核燃料プールでの核反応爆発説の論客として以前紹介した、米国の元原発エンジニアのアーノルド・ガンダーセンさんへの2011年6月3日付けのインタビューです。EX-SKFさんのブログが丁寧に和訳してくれました。エンジニア視点で状況がきめ細かく説明されていますので、できれば全文お読み下さい。以下はポイントのみ。

(1)事態はまったく危機を脱していない。
(2)1号機・2号機はすでにメルトスルーして溶岩状の燃料が少なくとも格納容器の底まで落ちている。すでに最悪の状況。
(3)3号機は燃料の一部がまだ圧力容器内にある可能性があり、米国NRCは圧力容器が一気に割れることを懸念している。そうなれば格納容器内での水蒸気爆発の危険性もある。
(4)4号機が実は一番厄介。燃料プールが高い位置にあるので新たに建屋を建設する必要があるが、余震などでもしも4号機が倒壊したら「日本の友人の皆さん、逃げなさい」
(5)東京を走る車のエアフィルターを送ってくれた人がいて、7個中2つが「信じがたいほど放射能に汚染されていました」。アメリシウムとストロンチウムも検出された。
(6)一番問題なのが大量の高濃度汚染水で、それが地下水を汚染したり海に漏れているが、深さ20メートルくらいの堀で取り囲んでゼオライトで満たすことをなぜやらないのか「理解に苦しみます」。

<参考資料>

http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/06/blog-post_05.html
http://ex-skf-jp.blogspot.com/2011/06/blog-post_06.html

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■ <GotoTetsushi>徹底追及 水産庁「魚は安全」捏造していた<gendai.ismedia.jp/articles/-/5692>この記事拍手拍手!!(2011年5月27日リツイート)


<補足コメント>

「放射性物質は魚体で生態濃縮しない」は水産庁のねつ造だった、という週刊現代の衝撃の告発記事です。国の言っている「安全」がいかにデタラメかを象徴する一件でした。当ブログでもコウナゴの検出結果に着目して「セシウムは濃縮しない」は嘘だと指摘してきました

<参考資料1>

『週刊現代』(2011年5月25日WEB版)より要約引用。

「国が展開する『汚染物質は海で希釈・拡散されるから大丈夫』というキャンペーンのウソ」

水産庁のレポート「水産生物における放射性物質について」では、海洋学者の故・笠松不二男氏の論文をねつ造して使い、「水銀と違って放射性物質は魚体で生物濃縮しないから大丈夫」と断言している。

水口憲哉・東京海洋大学名誉教授によれば、笠松氏の論文はセシウム137について魚の食物連鎖を通じた生態濃縮を証明して魚を摂取することによる内部被ばくを警告している。水産庁のいう「濃縮しないなんて、まったくデタラメ・・完全な『その場しのぎ』の産物と言えます」と語る。

勝川俊雄・三重大学海洋個体群動態学准教授もこう述べる。「生物濃縮が起こるというのは当たり前の話で、水産庁が言うような『起こらない』という論文を、僕は見たことがありません。しかも、水産庁はセシウム 137と有毒農薬のDDTを比較して、『食物連鎖を通じた生物濃縮はほとんどない』としている。それは、DDTという濃縮しやすいものと比べると少ない、という指摘に過ぎず、それで『濃縮しない』とは言えない。問題のすり替えが行われているんです」

「このように、専門家にはあっという間に見抜かれる「すり替え」も、素人である国民にはバレないと水産庁は思ったのか。」「放射性物質の内部被曝は、国民の健康を直撃する。いや国民だけではない。世界中の人々の生命を脅かす危険性すらある。そのような『究極の非常時』に、水産庁が故人の論文を都合よく使って安全を『捏造』することは、国家による殺人行為、まさに水俣病の再来に他ならない。」

本誌の追求に対し水産庁は、「こちらの意図としては、『濃縮して蓄積しつづけない』という意味で使用しており、『濃縮しない、かつ蓄積しない』という意味で使用しているわけではありません。」と反論しつつ、「濃縮・蓄積しない」と断言していたものを「蓄積しつづけるわけではない」に修正した。

しかし「蓄積しつづけるわけではない」という議論も信頼できない。水産庁の根拠は「蓄積が続く前提条件は、原発から放射性物質が放出され続けることであり、現在は流出がないことから、蓄積する環境ではない」というものだが、「原発からの放射性物質流出は止まってなどいない」。それに流出が仮に止まっても生態濃縮はすぐには止まらない。

「国が本気で国民の生命と安全を考えていないことを証明する、もう一つの事実がある。」

「本誌は前号で、菅政権がオランダ政府からの海洋調査の要望を、極秘裏に断っていたことを書いた。そのことに関する、官邸の内部文書を入手した。タイトルは『緊急参集チーム協議』、日付は4月22日~25日となっている。緊急参集チームとは、有事に首相官邸に設置される危機対応チーム。各省庁の局長クラスが参集する。」

内部文書からの抜粋------

河相官房副長官補「グリーンピースが正式にオランダ政府を通して海洋調査を申請してきた。断れば、日本は閉鎖的という批判を受けることになり、受け入れても新たな風評被害が出るかもしれない。また、適正とは思えない数値がグリーンピースから出てきた時に政府として反論できる体制をとることが必要」

危機管理監「グリーンピースが泥の調査を実施すれば反論できないため、グリーンピースの調査までに対応・対抗できるように関係省庁で調整してもらいたい」

抜粋ここまで--------

「オランダ政府が公式に申請してきたにもかかわらず、首相官邸には『風評被害の元凶』という認識しかない。『適正とは思えない』、つまり危険な数値が出た時も、政府として国民の健康を考えるのではなく、いかにして『反論できる体制をとる』かに腐心している。」

「政府がグリーンピースの船に対して『領海内の調査は認めない』と妨害したことは前号で述べたが、グリーンピースはそれに対抗して、自分たちの船を使わず漁師たちから提供された海産物の調査を行った。」

「政府が震災以来、国民の健康被害より風評被害を重視しているのは、周知のことだろう。その理由は簡単だ。目に見えない放射能の健康被害が起きるのは数年、ひょっとしたら数十年先だが、風評被害による一次産業への補償は、目の前の問題だからである。要するに、政府は補償で払うカネをできるだけ少なくしたいのだ。」


<参考資料2>

国際環境NGOグリーンピースは、2011年5月26日、「海洋放射能汚染に関する調査の結果」を発表した。

それによると、福島県沖で捕れた海産物の21サンプル中14サンプルの放射性セシウム濃度が、ゆるすぎる日本の暫定基準値(500ベクレル/kg)すら超えていた。例えば、5月5日に福島県四倉港付近で採取した海藻カヤモノリの放射性セシウム濃度(Cs134とCs137の合計)は2840ベクレル/kg、5月5日に福島県江名港付近で採取した海藻アカモクは同1640ベクレル/kg、同5月5日に福島県久ノ浜港付近で採取したマナマコは同1285ベクレル/kg、など。

ヨウ素131についても、日本のひどい暫定基準(2000ベクレル/kg)を上回るサンプルが8つ見つかった。例えば、5月5日に福島県江名港付近で採取した海藻アカモクのヨウ素131濃度は127000ベクレル/kg、5月4日に原発から南東52km地点で採取したアカモクは同119000ベクレル/kgであった。

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■ 魚の放射性セシウム濃度が核実験時代と比べても100倍以上高くなっているという水産専門家の記事<katukawa.com/?p=4549>たった5日間で9800兆ベクレルも海に出た放射能汚染水<bit.ly/fCx2Pm(2011年6月2日つぶやき)


<補足コメント>


勝川俊雄・三重大学水産資源学准教授のブログに、魚が全然大丈夫ではないことが一目で分かるグラフがありました。別の記事には、水産庁のデータに基づく県別の濃度が示されていて、「今のところ」高い濃度が出ている海産物や福島・茨城・千葉の3つの産地を避ければ、「(日本の暫定基準よりも厳しい)ECRR基準でも、十分にいけそう」とアドバイスしてくれています。ただし問題なのは、厳密に海産物が捕れた水域ではなく「水揚げ港の属する都道府県名」を「産地」として表示することが法的に可能になっていることです。それに魚は移動しますので、今後汚染の範囲が変わってくる可能性はあります。つまりお店で表示されている「産地」を見るだけでは、安全性の確認にならないということを認識する必要があると当ブログは考えます。

<参考資料>

著者の結論部分

「主要な内部被曝源であるCs-137は、1960年代の平均値が0.37Bq/kgに対して、2011年は42Bq/kgですから、すでに100倍以上に増えています。陸上へのフォールアウトもどうやら福島の方が桁違いに多いようです(http://twitpic.com/4wy6hm)。『核実験時代と311のインパクトは同程度だから、大丈夫』という主張は、無理があると思います。」


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土壌調査をまとめてみた:広域での体内被曝検診を求めます
 
 
2011/06/08(水) 09:26 大鬼
つぶやきシリーズ:ツイッター上での自分のつぶやきとリツイートから、これだけは保存しておきたいものをテーマ別にまとめて掲載。補足コメントや参考資料なども順次追加。
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■ アレバの汚染水処理はデタラメ:福島への装置貸出しでぼろ儲けの原発企業アレバ社、自社の再処理工場で「クリーン」なはずの排気・排水に大量の放射能が含まれ白血病まで引き起こし、米国NRCでもその技術に懐疑的意見あり<http://bit.ly/kz12T8
(2011年6月4日つぶやき)


<補足コメント>

世界最大の原発企業アレバ(本社フランス、三菱重工と提携)。欧州の研究者やグリーンピースの追跡によって、放射能をたれ流す悪徳企業であることが分かっています。そのデタラメな放射能除去技術を、1トンあたり2億円もの法外な額で売りつけてきました。日本にはそれより安価で優れた技術があります。原発企業が原発事故で儲けるな!金があるなら被爆者・被災者のために使え!アレバとの契約は破棄すべきです。

<参考資料>

フォーブス(2011年4月25日)記事「フランスによる福島原発汚染水浄化システムはヨーロッパで白血病を引き起こし浜辺を汚染している」のリンク先サイト和訳より要約引用。

「フランス企業アレバが福島の放射能汚染水を浄化するのに使用しようとしているプロセスは、フランス本国で多数の白血病を生じさせ、海辺の汚染ばかりでなく汚染水を英仏海峡から北極海へ拡散させていると非難されてきたものだ。」「同社のラ・ハーグ核燃料再処理施設で採用されている共沈殿法を使うつもりらしい。」アレバ社は「99.99%の放射能を除去できる」と確約しているが・・

米国NRC委員長グレゴリー・ヤツコ氏によると、この方式は放射能「拡散抑止の有効性に疑問があり」米国内では忌避されている。またグリーンピースやPSR(社会的責任を追及する物理学者組織)からも強く非難されてきた。

実際、アレバ社のラ・ハーグ再処理施設から海と大気に放出されている廃棄物には「高い放射能をもち、半減期の長い放射性同位体が含まれている」。「健康調査の結果、ラ・ハーグの近くでは高い確率で白血病が生じていることが報告されている。」

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■ 【必見】原発労働者27万人のうち6.5万人の生死不明、限度量を超えても線量計はずし(鳴き殺し)や線量虚偽報告は日常茶飯事。違法な労働現場、無視される非正規労働者の人権<http://bit.ly/m1MR3K(2011年6月1日つぶやき)


<補足コメント>

人の犠牲の上に成り立つ原発ビジネス。3・11前にこんなことほとんど知らなかった自分が恥ずかしい。使い捨てられていく人たちの姿に涙が出ました。事故のあるなしにかかわらず、原発は存在自体が罪です。絶対に見て下さい。



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■ プルトニウムなどの排出を促す薬を厚労省が認可方針。経団連米倉の住友と福島第一メーカーのGEが出資する日本メジフィジックスが利益を得る。効果・副作用などは不明<http://bit.ly/lo2qlW(2011年6月7日つぶやき)


<補足コメント>

EX-SKFさんが詳しく調べてくれていました。それによると、プルトニウムなどを体内に取り込んでからすぐに投薬しないと効果がほとんどなく、また副作用も厳しいとのことです。また東京茶とら猫さんのブログにはいくつかの報告書へのリンクがあります。私は薬そのものについてはよく分かりませんが、何がおかしいのかは分かります。本当に人の命を守りたいのなら、いま一番やるべきことは、保健所の検査体制を大拡充して食品放射能を徹底的に監視・表示すること、そして体内被ばく検診を広範囲で実施することです。それらを頑なに拒みつつ、企業が儲かる薬はあっさりとGOサインを出す、そういう厚労省の姿勢がとんでもないと思うのです。しかも輸入業者とはいえその利益は原発産業とも結びついているというおまけつきで。

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■ <kamitori>日立と東芝の製品は、ボイコット!!RT @hosriki ひどいな日本企業、日立と東芝はいつになったら学習するんだろ? @Reuters_co_jp リトアニア原発建設、日立と東芝の2陣営が応札(2011年6月1日リツイート)


<補足コメント>
3・11にもかかわらず、海外では原発メーカーが受注競争を繰り広げています。東芝、日立、三菱、住友は、原発事業から撤退するまでボイコットします。

<参考資料>

ロイター(2011年6月2日WEB版)より
「リトアニア政府は1日、同国の原子力発電所建設計画に、日立製作所と米GEの合弁会社であるGE日立ニュークリアエナジー、および東芝傘下のウェスチングハウスの2社が応札したと発表した。・・夏までに発注業者を選定する。」


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