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2011/04/08(金) 15:31 大鬼
■史上最悪の海洋放射能汚染

福島第一原発に本格的な放水が開始された3月19日頃から今までずっと疑問に思っていたことがある。あの大量の水は一体どこに行くのか。東電も政府もメディアも、3月24日に3号機で水に浸かった作業員3人が急性症被曝となり病院に送られるまで、水の行き先について(溶融した炉心の放射能が漏れていることにも)何も語らなかった。その後はさすがに炉心溶融の進行と格納容器の破損という事態を隠しきれなくなったが、汚染水の処理問題がここまで切羽詰まっていることを一般の人が知ったのは、4月2日に2号機取水口付近の亀裂から超高濃度の放射能汚染水が海に漏れ出していることが発覚した時であった。4月4日東電は超高濃度汚染水を移し替えるためにやむを得ぬ措置として、11500トンの高濃度汚染水を海洋放出する方針を発表、政府は即座にこれを了承した。これはロンドン条約違反の迷惑な海洋汚染として諸外国のひんしゅくを買い、応援される被災国であった日本はここ数日の内に無策で自分勝手な加害国と見なされ始めた。

1~4号機の炉心と使用済み燃料を冷却する必要から、毎日500トン以上、これまでに1万トン程が放水されてきた。問題は炉心が溶け圧力容器・格納容器からも放射性物質を大量に含む水が漏れ、それが建屋内に溜まり続けていることだ。ではここ数日でどれだけの放射性物質が海に放出されたのか。


■1700億ベクレルの意図的排水

まず11500トンの意図的な海洋排水について、東電やマスコミは「低レベル」「低濃度」の汚染水と表現しているが、十分に高濃度の放射能水である。報道によれば、この11500トンに含まれる放射性物質の総量は1700億ベクレルで、濃度は14783ベクレル/kgとなる。これはWHOの水道水放射能上限値(10Bq/kg)の約1500倍の高濃度汚染水である。

この汚染水中の放射性物質の内訳は、ヨウ素131が930億ベクレル(処理施設1万トンの濃度6,300,000Bq/トン、5・6号機地下水1500トンの最大濃度20,000,000Bq/トンより計算)で54.7%、セシウム137は93億ベクレル(ヨウ素とセシウムの累積降下量比率からの推測値)で5.5%、その他の放射性物質が677億ベクレルで39.8%と推定される。

しかし東電が汚染水の漏洩経路をしっかり把握していないことは誰の目にも明らかであり、報道されていない汚染水の海洋廃棄は相当な規模になっていると考えざるをえない。


■9800兆ベクレルの流出事故:桁違いの量に注目!

4月2日から7日まで2号機取水口付近から漏れ出していた(炉心が溶け出していると思われる)超高濃度汚染水には、桁違いの量の放射能が含まれていた。これは史上類を見ない海洋の原発災害である。これが本当に避けられない事故であったのかどうかは分からないが、放水開始と同時に汚水処理のことを考えるべきであった東電が、炉心が溶けて大量の放射能が水といっしょに出てくる可能性を考えず、結果として6万トンもの超高濃度汚染水を抱え込むまでこれといった汚水処理対策もせず、汚染水を移し替えるための仮設タンクを発注したのが10日も経った3月28日で納品が4月15日に、といった展開を理解することなど到底できない。

この流出水は2号機トレンチ内の汚染水と同程度の濃度であったと考えられる。報道によると、2号機トレンチ内の汚染水の濃度は11兆6600億ベクレル/トン(116.6億Bq/kg)であった。これはWHO水道水基準値の11億6600万倍に相当する。また別の報道では、亀裂から出ていた水の量は推定で毎時7トン、5日間(120時間)で840トンが流出したと考えられるため、総量にして9794.4兆ベクレルの放射性物質が海に混入したことになる。

なお放射性物質の内訳(トレンチ内)は、ヨウ素131が59%、セシウム137が6%(推定)、セシウム134が17%、その他15%(推定)である。


■「魚を食べても安心」キャンペーンの嘘

予想通り、東電・政府・マスコミ・御用学者による「魚を食べても安心」キャンペーンが展開されている。厚労省は国際基準より数十倍ゆるい野菜の暫定基準を海産物にも適用すると決定。原発推進派による人命よりも利権を優先した姿勢、非科学的な汚染食品摂取キャンペーンが、長期的な健康被害と風評被害を同時に引き起こしている。原発推進派には、日本のすばらしい海産物を信じられないような量の放射能で汚したということへの罪の意識は微塵もないのだろうか。

以下は原発推進派がよく言う4つ嘘である。いいかげん、いたずらに安心を煽る流言飛語をやめてもらえないものか。


■嘘その1「放射能は海に入ると希釈されるから安心」

問題は生物の体内の放射能濃度であり海水そのものの濃度ではない(海水の放射能濃度も単純に距離に比例して薄まるわけではない)。いくつかの有害な化学物質と同様に、放射性物質は生物の体内に蓄積され、食物連鎖を通じて生態濃縮が起こる。

米国ワシントン州では1970年代に核兵器生産用原子炉から長期間放射性物質が河川に放出されていたことが判明した。そこでの調査によると、川の水の放射能濃度に対して、プランクトンの中ですでに2000倍、小魚の体内で15000倍、その魚を食べるアヒルで4万倍、水鳥の卵で100万倍、になっていた。海であれば膨大な数のプランクトンやオキアミや小魚をエサにする大型の魚の体内で多くの放射性物質が蓄積される。したがって海は広くて薄くなるからいいといった単純な話にはならない。


■嘘その2「ヨウ素は半減期が短い・セシウムは濃縮しないから問題ない」

放射性ヨウ素は顕著な生態濃縮が起こる物質である。なので御用学者はたいてい半減期が8日程度である点を強調する。しかし半減期というのは放射線が半分の強さになる期間であって、その後もずっと放射線は弱くなりながらも出続ける。体内被曝の場合、内臓に付着した放射性物質からの被曝量は膨大になるため、半減期を過ぎた微量の放射線からでもがん細胞は形成されうる。

放射性セシウムについては、半減期が30年と長いものの、特定の臓器に蓄積されないので生態濃縮が起こりにくいとの主張がある。しかし特定の臓器に蓄えられない=体内に蓄えられない、ということにはならない。実際に生じている事実をもとに考えてみよう。まず2号機取水口付近から漏れた超高濃度汚染水の内訳(上記)によれば、放射性セシウムは放射性ヨウ素の39%であった。報道によると、4月4日茨城県沖で捕獲されたコウナゴから検出された放射性物質の量は1kgあたり、放射性ヨウ素4080ベクレル、放射性セシウム526ベクレルなので、放射性セシウムは放射性ヨウ素の12.9%になっていた。つまり放射性ヨウ素の方が放射性セシウムよりも26%生態濃縮されやすいが、違いはこの程度であり、放射性セシウムが体内に蓄積されにくいとまでは言えない。さらに4月9日の報道によれば、福島県いわき市沖で捕れたコウナゴからはヨウ素1700ベクレル・セシウム570ベクレル(ヨウ素の34%)が検出された。事実によってセシウムが危険なレベルにまで生態濃縮していることが証明された。

さらに忘れてはならないのが、ヨウ素・セシウム以外の放射性物質(コバルト、ウラン、ストロンチウム、プルトニウムなど)だ。15%でも1470兆ベクレルに相当する。これまでは地表に降る放射性物質に目が向いていたため、ガス化して飛散しやすいヨウ素とセシウムばかりが注目されたが、海洋への排水では他の物質も確実に混ざっている。ヨウ素とセシウムしか計測・公表されていないことは致命的な勘違いを生じさせている。福島第一原発の敷地内で遅くとも3月20日にはすでにプルトニウム(α線の強さや半減期の長さの点から最悪の物質)が放出されていたことが判明している。プルト君(かつて動燃が税金で制作した悪名高い洗脳動画に出てくる小僧)はプルトニウムを食べても大部分排泄するから大丈夫だと言ったが、小部分であろうと命取りになるほど異常な毒性であるという点にはもちろん触れていない。


■嘘その3「安全基準があるから売ってる魚は絶対大丈夫」

日本の食品放射能基準(暫定規制値)は、国際的な水準よりも20倍緩い。「厳しすぎる」というデマがいまだに聞かれるが、当ブログの他の記事で正している。より重要なことは、放射線の健康被害とは長期的であると同時に、1万人中何人死ぬリスクかといった確率的被害であり、ここからは絶対に安全といった「しきい値」など存在しないということである(この点はこの記事にある「BEIR-VII 2005」によって証明されている)。そのことを理解した上で食べるという選択はあり得るが、むやみに安心メッセージを繰り返してリスクを隠すという前時代的なやり方ではもう多くの人が納得しない。

本来、食品安全基準は有害なものを排除するために必要とされるのであり、汚染されたものを食べさせるためにあるものではない。今日の政治は人命よりも利権を優先しているため、食べさせるための基準になっている。こんな基準ならない方がましだ。今必要なのは徹底した食品残留放射能のチェック体制(保健所が厳格にやるべき)とその情報公開である。魚を安心して食べられるようにする唯一の方法は、人命尊重の立場で基準を厳格にしベクレル数をきちんと表示して販売し徹底的に汚染食品を排除する体制を作ることである。そのために我々は民主主義を持っている。魚文化を守るために嫌なものは嫌だと声を上げよう。


■嘘その4「風評被害が漁民を困らせている」

困らせているのは原発である。歴史上例のない大規模な原発海洋汚染が発生していて不確定要因が多すぎる中、どの程度の健康被害が発生しどこからが風評被害になるのかすら分からない。さらに政府の暫定基準がゆる過ぎるため汚染食品が流通している可能性がある以上、多くの人がリスク回避のために買わないという行動に出ることは全く正当かつ合理的な行動である。今回の災害の第一の責任者は原発産業であり、農家や漁民が被る被害はまず彼らに弁償させるべきで、住民に放射能を食べさえることで彼らの罪を免責すべきではない(賠償については別の記事へ)。


最後に、水産物の産地表示について、国産の場合は水域または水揚げ港(もしくはそれらの属する都道府県名)の表示が義務づけられているが、漁港の方で○○県と表示されていても実際どこで捕れたものか見当もつかない。個々のパッケージごとにベクレル数を表示してくれるなら別だが、現状ではリスクを避ける有効な方法はない。


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