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2011/03/28(月) 15:02 大鬼
ICRP(国際放射線防護委員会)という各国の原発推進派専門家の寄せ集め組織によると、一般人の外部被曝(吸わない食べない飲まないを前提にした外気からの放射線被曝)の上限は1,000マイクロSv/年であり、これは2万人に1人が被曝による癌で死ぬというレベル(つまりリスクはゼロではない)とのことだが、ICRPは有事には20,000マイクロSv/年まで許容すべきだと勧告している(同じく原発推進国際組織であるIAEAも「緊急時」は20~100倍までは問題なしとすべきだと主張している)。日本ではICRPの被曝許容量の計算方法をベースにしてより緩い基準が考えられている。実際、厚労省が3月17日にこそこそ作った水や食品の放射能の暫定基準値は、だいたい従来の国際基準よりも20倍ほどゆるい値にされた。

しかしICRPの計算方法をかねてから批判してきたECRR(欧州の環境派専門家を中心にした団体)によれば、1000マイクロSv/年のレベルであってもICRPの計算方法(線量係数など)はそもそも非科学的で間違っていた。放射能関係の御用学者しかいないICRPと違って、ECRRは各国の原発利権から独立した原子力専門家に加え、疫学・公衆衛生・リスク社会学など多様な分野の専門家・グループによって構成され、理論だけでなく現実社会での現実的な被曝被害を考える上で不可欠となる学際的なアプローチを重視してきた。第一にICRPの基準は広島被爆者のデータを元に作られているが、原子爆弾のような強い局所的放射線での殺人を目的にした兵器から得た結論を使うと、原発事故のような(原爆とは異なる放射性物質で)じわじわと被害が広がるケースの多くが理不尽に「被害なし」とみなされてしまう。実際、チェルノブイリの被害者は100万人に達しているが、公式の被害者数はたったの数千人とされ、他の人たちには何の補償も与えられず単に運悪くガンになったり奇形児を産んだりした人として闇に葬られた。被害を隠すための基準とはこういうものだ。第二に内部被曝については、ICRPは人体・臓器全体のどんぶり勘定(被害の平均化)で計算しているが、現実には放射性物質が付着した箇所の周辺が集中して被曝を受けるので、この局所的リスク増大が考慮されていないのはおかしい。これは長期間放射能がじわじわ放出されるような原発事故の場合、安全基準に致命的な計算ミスをもたらす。つまるところICRPのリスクモデルは、体内被曝量をきちんと計算に組み込んでいないのである。日本政府が言っている基準値はすべてこの間違った数式に基づいて考えられていて、食品・水についてはさらにそれを緩くしたものなので、科学的信頼性は皆無と言える。

加えて、有事(原発事故時など)に基準がゆるくされるというものバカげた話だ。放射能汚染が問題になるのは常に有事であり、人体は非常時だからといって放射能耐性が増えるものではない。これは原発産業が事故の賠償責任を免れるために考えられたもので、理不尽極まりない。

ECRRはより合理的な計算方法を用いて、一般人の人工外部被曝の上限を100マイクロSv/年だと結論づけている。これはICRP上限の10%、ICRP有事上限の0.5%である。これを厳しすぎると思う人もいるかもしれない。だが忘れてはならないのは、ICRPの年間1000マイクロSvという基準は、2万人に1人が被曝によるガン発症で死亡するというレベルの危険性ラインであって、リスクが完全にゼロになるラインではない。リスクはガンだけでなく、例えば染色体が不完全に壊れたまま複製されるリスクも含まれており、それはどんなわずかな放射線でも起こりうることである。要するに放射能被曝に関してリスクゼロとなる値などそもそも存在しない。この点についてはアメリカ科学アカデミーのBEIR委員会が2005年のBEIR-VII報告において、放射能にはここまでは安全といえるような「しきい値」がなくリスクは常に上昇するという結論に至ったことが注目される(現在世界の科学者の中で低線量被曝の危険性を軽視する学説に固執する者は減少している)。どんなレベルの被曝でも健康リスクは被曝量に比例して増えるという正しい認識に基づき、人命重視を最優先次項であると考えるならば、基準は極力厳しく設定すべきである。レントゲンなどを何度も撮ることを絶対禁止しろと言っているのではない。その行為がより重大な健康上の問題を防ぐ上で必要と判断される場合に限り、レントゲン撮影の方がよりましなリスクだと言えるのであって、微量の被ばくでもリスクはじわじわ上昇するという正しい認識をもって判断を下すべきだということである。
 

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